野ボール横丁BACK NUMBER
「好んで坊主なのに…なぜダメって言うんでしょうか」神村学園の熱血監督が本音…スマホ使用ルール、全寮制の生活「それでも高校野球に捧げる理由」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph bySankei Shimbun
posted2024/03/22 06:02
今年のセンバツ練習前に座禅を組む神村学園の選手たち
小田 持つのはOKです。でも、寝る前には回収しています。大人もそうですけど、携帯があるとつい触っちゃうじゃないですか。寝るときも持っていたら睡眠時間も妨げられるし、視力も悪くなる。いいことは何もないと思うんです。ただ、大会の時は、一切使わせないようにしています。
――大会中は、使える時間というのも設けていないわけですね。
小田 絶対に触らせないです。試合に集中させたいので。携帯を触る時間があるぐらいなら体のケアをして欲しいし、相手の研究をしてもらいたいし、自分の練習をして欲しい。あと、情報がどこから漏れるかわからないというのもあります。それぐらいかけてやっていい期間だと思うんですよ。勝てば、自分の人生を変えられるかもしれないわけですから。高校スポーツの勲章って、いろいろあるじゃないですか。全国大会に出たとか、インターハイに出たとか。でも、甲子園に出たというのが、いちばんインパクトが強いと思うんです。その夢をつかめるチャンスって、人生の中で5回しかない。だったら、その夢をつかむために最善の取り組みをしようと。携帯電話がどうしても必要なら使わせますけど、そうでないならそのぶんの時間は野球に使おうよという判断ですね。
卒業生全員「大学でも野球」
――神村学園はもっと大所帯の野球部なのかと思っていたのですが、そうでもないんですね。
小田 うちは1学年あたり15人から20人くらいですね。寮のキャパがそれくらいなので。あと、僕が預かった子はできる限り大学や社会人でも野球を続けて欲しいんです。進路指導を考えると、これくらいの人数が限界だなという理由もあります。今年卒業する3年生は15人しかいなかったのですが、15人全員、大学で野球を続けてくれるんです。