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浦和レッズ「優勝へスタートダッシュが必要」な中で広島から“手痛いレッスン”…MFグスタフソンは本物だが、開幕戦で欠いたものは?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE
posted2024/02/24 17:03
0-2での敗戦後、敵地に駆けつけたサポーターに挨拶するヘグモ監督と浦和イレブン
ラスト15分には途中出場の前田直輝が右サイドから何度も仕掛けてチャンスを作った。これにはキャプテンの酒井宏樹も「途中から入った選手がギアを入れて、エネルギーを出してくれたのは今年の強み」と手応えを滲ませた。
新プレーメーカー、グスタフソンのポジショニングとパス捌きも本物だった。
セルヒオ・ブスケッツや現役時代のジョゼップ・グアルディオラにも言えることだが、優れたアンカーは走らない。動き回れば相手もマークに付いてきて、味方のパスコースを消してしまうことが分かっているのだろう。動き回っていないのに、いつの間にかフリーになってボールに触れる。その事実こそ、優れたアンカーの証だろう。
代わりにベンチスタートとなった岩尾憲はこの日のように、今季は問題が起きたときの“処方箋”としての起用が増えそうだ。
気になったのはリーダーシップをとる選手の不在
とはいえ、岩尾がピッチに登場した67分まで、チームの困難な状況に際してピッチ内でどう修正するのか、リーダーシップをとる選手の不在が気になった。小泉や伊藤敦樹には今後、自身の考えを周りにしっかり伝え、チームを修正へと導くことが求められる。
チアゴ・サンタナと伊藤は負傷を押しての出場でもあり、もうひとりの補強の目玉、ノルウェー代表FWのオラ・ソルバッケンは負傷によってしばらく欠場することになりそうだ。そうした事情からも難しいゲームだったのは間違いないが、浦和にとってはありがたい“レッスン”にもなったゲームだろう。
ただし、興梠慎三が「優勝するにはスタートダッシュがどうしても必要」と語ったように連敗は絶対に許されない。次節、ホームで迎える東京ヴェルディ戦では、広島戦で失った勝ち点以上の成長と進化を見せなければならない。