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大型補強・浦和レッズ練習試合にミシャ、鬼木、黒田監督が熱視線…「そこから降りるな」「ドミネート」ヘグモ流が興味深い〈J1キャンプレポ〉
posted2024/01/26 17:04
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
大型補強を敢行した浦和レッズは、一体どれほどのものか――。
1月25日、ベガルタ仙台との練習試合が行われる沖縄県・金武町フットボールセンターに、J1の指揮官たちが続々と姿を現した。
北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督、川崎フロンターレの鬼木達監督、FC町田ゼルビアの黒田剛監督がスタンドにどっかりと腰を下ろし、ピッチに熱視線を注ぐ。その近くにはコーチングスタッフや強化担当者の姿もあった。
札幌と町田はこの日の午後がオフ、川崎は全日オフだったから足を運べただけかもしれないが(仙台には川崎から育成型期限付き移籍中の名願斗哉や庄子春男元GMもいる)、今季の浦和が各チームにとって気になる存在であることは確かだろう。
ライバルチームの関係者や少なくないファン・サポーターが見守るなか、浦和は45分×3本の変則マッチで仙台を6-0と粉砕した。
いきなりヘグモ流を感じるゴールシーン
スコアラーは、チアゴ・サンタナ、安部裕葵、中島翔哉、安居海渡、興梠慎三、小泉佳穂の6人。長らく負傷に苦しんできた安部が30分限定だったがピッチに立ち、相手GKのミスとはいえゴールまで決めたのは、レッズサポーターにとって嬉しいニュースだろう。
そして何より、清水エスパルスから加入した元J1得点王の新エース、チアゴ・サンタナが最初の実戦でさっそくネットを揺らしたのも好材料だ。
対戦チームを率いる森山佳郎監督が「このシリーズは体力強化がテーマ」と語ったように、仙台の選手たちはかなり走り込んでいて疲労のピークだった。だから、浦和としては諸手をあげてスコアを喜ぶわけにはいかないが、ペア・マティアス・ヘグモ新監督のトレーニングの成果が随所に表れていたのは間違いない。
松尾佑介が抜け出してチアゴ・サンタナが決めた1点目と、中島のスルーパスから興梠が独走した5点目は、自陣からのロングカウンター。新体制発表会でヘグモ監督が「ボールを奪ったとき、相手がまだ整っていないオープンな状態で速攻を仕掛けることが大事」と語った形そのものだった。
4点目は敵陣で相手のビルドアップを狙い通りにハメて、ボールを奪った安居がそのままシュートに持ち込んだ。これもまた、狙い通りの形だった。
伊藤が言われた「そこから降りてくるな」
こうした得点シーンもさることながら、新監督のカラーがくっきりと出ていたのは、4-3-3の布陣におけるインサイドハーフの役割や、攻撃のビルドアップ、サイドからの崩しのシーンだ。