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浦和レッズ「優勝へスタートダッシュが必要」な中で広島から“手痛いレッスン”…MFグスタフソンは本物だが、開幕戦で欠いたものは?
posted2024/02/24 17:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE
真新しいエディオンピースウイング広島のピッチで繰り広げられたのは、リスクとリスクがぶつかり合う、痺れるような展開だった。
サンフレッチェ広島が負ったのは、最終ラインが同数になることを受け入れ、オールコートのマンツーマンで前からどんどんプレッシャーを掛けていくリスク。
浦和レッズが負ったのは、ハメられているのを承知のうえで、それでも後方からパスを繋いでマークを剥がそうとするリスク。
そんな見応えのある攻防を制したのは、ホームチームだった。2024年シーズンのJ1リーグのオープニングマッチ、優勝候補同士の激突は、広島が2-0で浦和を下した。
ヘグモ監督「90分を通すと相手のほうが安定していた」
「難しい試合になるということは始まる前から分かっていた。長年、一緒にプレーしている非常にまとまったチームとの対戦で、90分を通してみれば、相手のほうが安定していた」
こう振り返ったのは、浦和のペア・マティアス・ヘグモ新監督である。ミヒャエル・スキッベ監督の就任以来、2年続けて3位の好成績を収めている広島に一日の長があったことは認めざるを得なかった。
「期待よりもいい時間帯もあった」とヘグモ監督が語ったように、前半25分ごろまでは浦和のほうがチャンスの回数は多かった。だが、次第に浦和のビルドアップに慣れた広島が圧力を強めていく。
前からハメに行く勢いをそのままに、後方から次々と選手が飛び出してくる津波のようなアタックに、浦和は徐々に飲み込まれていった。
勝負の分水嶺はハーフタイムにあった
前半終了間際、川村拓夢のミドルシュートをGK西川周作が弾いたこぼれ球を、大橋祐紀に詰められて先制を許す。
浦和にしてみれば、この1点は仕方のない面もあった。
勝負の分水嶺はハーフタイムだった。
「後半はもっと後ろから繋ごうとした」とヘグモ監督が、「後半、長いボールを入れて辛抱強くチャンスを待つっていう方法もあったと思うんですけど、そうではなく下で繋いでいくことを試みた」と小泉佳穂が言うように、ハーフタイムを挟んで繋ぐ意識をさらに強めた浦和は、ビルドアップを助けるためにインサイドハーフもポジションを下げるようになる。