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“お坊さん”になった元Jリーガー28歳の挫折人生「なんでジュビロのユニフォームじゃないんだ」トップ昇格を逃し、プロでは大ケガの悲劇
posted2024/02/25 06:00
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Jun Aida
23歳での現役引退は周囲から早過ぎると言われた。だが、未練も後悔もない。第2の人生に僧侶の道を選んだ元Jリーガーの五藤(旧姓:梅村)晴貴さんは、わずか5年でプロサッカー生活に幕を下ろした。
「プロ4年目で海外移籍」のビジョンだったが
サッカー王国・静岡県で生まれ育った五藤さんがサッカーを始めたのは、幼稚園の年長だった。父親は野球好きで、2人の兄もサッカーをしていない。友だちに誘われて、五藤さんはチームに入った。将来プロになるほどの逸材。無双だった小学生の頃を「自分がボールを捕られることがあるのかなと感じていました。得点もおもしろいように決まりました」と振り返る。
中学はジュニアユース、高校ではユースとジュビロ磐田の下部組織に進んだ。静岡県内だけではなく、県外からも同世代のトップ選手が集まってきた。
「上には上がいる。このままでは、まずい」
五藤さんには危機感が芽生えていた。
足元の技術には自信があったが、体力面に弱点があったという。全体練習で課されるランニングメニューやフィジカルを鍛えるトレーニングに加えて、自主練習で体力を強化。寮生活だった高校時代は朝5時に起きてランニングしていた時期もあった。モチベーションを維持できたのは、明確な目標があったからだった。
「高校を卒業したらジュビロのトップチームでプレーして、プロ4年目に海外に移籍するビジョンを描いていました。中学生や高校生の時は自分が飛び抜けて上手いとは思っていなかったので、自信より焦りの方が大きかったです」
高1で2種登録、昇格は“既定路線”かと思われたが
海外でのプレーを意識したのは、高校2年生の時だった。
静岡県で開催された大会で同世代のポルトガル代表と対戦して大敗した。