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浦和レッズ「優勝へスタートダッシュが必要」な中で広島から“手痛いレッスン”…MFグスタフソンは本物だが、開幕戦で欠いたものは?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE
posted2024/02/24 17:03
0-2での敗戦後、敵地に駆けつけたサポーターに挨拶するヘグモ監督と浦和イレブン
待ってましたとばかりに襲いかかる広島の術中にハマった浦和は54分、自陣でボールを失った小泉がペナルティエリア内でファウルを犯してPKを献上。これはピエロス・ソティリウのミスに救われたが、1分後に痛恨の2失点目を再び大橋に、今度は頭で決められてしまうのだ。
「より繋がないといけないという意識が強くなって、自分たちのポジショニングもどんどん下がってしまったのが一つの要因かなと思います」と関根貴大は分析する。
“心理的圧力”をかけられなかったことを小泉は悔やんだ
リスクを取ることの我慢比べに負けた――。
そう悔やんだのは、インサイドハーフとウイングでフル出場を果たした小泉である。
「物理的にプレッシャーを掛けられているわけですけど、広島はずっとプレッシャーを掛け続けることで、心理的にも圧力を掛けてくるチーム。ただ、それをやり続けることによって生じるリスクを、相手にもっと知らしめなければいけなかった……」
浦和のインサイドハーフが自陣に下がれば、マークする広島の選手も付いてくるから、浦和陣内で7対7の状況が生まれる。これはかなり圧を掛けられている状態だ。
だが、裏を返せば、相手陣内では3対3の状況が生まれているわけで、ロングボールやカウンターによって広島に冷や汗をかかせるようなシーンを増やせていたなら……。
前掛かりの広島の喉元にナイフを突きつけるように、マンマークが大きなリスクになっているという心理的圧力を感じさせなければいけなかった、というわけだ。
とはいえ、浦和が足もとで繋ぐことにこだわらざるを得ない理由もあった。
センターフォワードのチアゴ・サンタナが負傷明けで万全ではなく、ボールを収め切れなかったことに加え、チアゴ・サンタナをどうサポートするのか、ディテールがまだ詰め切れていない。
さらに言えば、初陣となる指揮官にしてみれば、プレシーズンに積み上げてきたものをこの場で試したいという思いも強かったはずだ。現時点では広島のハイプレスを剥がすだけの精度とメカニズムを持ち合わせていなかったが、前半の出来が多少良くなかったからといって、ロングボールに切り替える指示を出せば、選手たちに「ブレた」とも思われかねない。臨機応変さを見せるには、もう少し試合を重ねる必要がありそうだ。
補強の目玉グスタフソンは“本物”だ
新シーズンの初陣を落とした浦和だが、ポジティブな面も少なくない。
前半の15分間には、補強の目玉であるスウェーデン代表MFのサミュエル・グスタフソンを中心にボールを動かし、小泉や松尾佑介、関根がシュートまで持ち込んだ。