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「そこまで獲るか!」浦和レッズ“大型補強”北欧代表コンビに元J1得点王…「練習の70%は攻撃」と宣言するヘグモ新監督に課せられた使命とは?
posted2024/01/15 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
このストーブリーグの勝者――それは明らかに浦和レッズだろう。
かつてノルウェー代表を率いたペア・マティアス・ヘグモ監督の招聘に成功すると、12月末から石原広教(湘南ベルマーレ)、佐藤瑶大(ガンバ大阪)、井上黎生人(京都サンガ)の獲得と、水戸ホーリーホックに武者修行中だった武田英寿の復帰を発表。12月29日にはスウェーデンのヘッケンで新指揮官の懐刀だった現役スウェーデン代表ボランチのサミュエル・グスタフソンの獲得にも成功する。
だが、浦和の補強はこれだけにとどまらない。いや、それどころか、ここからが本番だった。
宇賀神と松尾復帰、ソルバッケンにチアゴ・サンタナも
1月7日には渡邊凌磨(FC東京)と前田直輝(名古屋グランパス)を獲得。9日に宇賀神友弥(FC岐阜)の3年ぶりの復帰を発表すると、12日には現役ノルウェー代表ウインガーのオラ・ソルバッケンを獲得。新体制発表会の前日となる13日には、元J1得点王で清水エスパルスのチアゴ・サンタナの加入と、ベルギーのウェステルローに期限付き移籍中の松尾佑介の復帰まで発表されたのだ。
さすがに13日に名前が出たふたりは、すでに噂になっていたとはいえ、「そこまで獲るのか!」と、その妥協なき姿勢にやや引いてしまった。
もちろん、昨季のエースであるホセ・カンテの引退、荻原拓也と明本考浩の欧州移籍は痛いが(明本は交渉中)、チーム編成の“収支”は大幅なプラス。ここまでの大型補強は、近年のJリーグでも覚えがない。
西野TD「得点力、攻撃力をつけるために…」
「昨年、いろんな部分でもう一歩というところがたくさんあった。特に攻撃力が足りなかった。得点力、攻撃力をつけるためにはどうすればいいかをテーマにチームを編成した。もう一歩のところのギャップを埋めることでリーグ優勝を十分狙える、ルヴァンカップでも優勝を狙えると思っています。目指すところは優勝だという話を(ヘグモ監督にも)させてもらいました」
そう語るのは、強化責任者の西野努テクニカルダイレクターである。この選手たちの半分くらいを昨季に獲得できていれば、あるいはルヴァンカップやクラブW杯でも……と思いたくもなるが、予算も違えば、強化体制も違うのだから言いっこなし。気概あふれる補強を敢行したフットボール本部を最大限に評価したい。