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「机がマジで壊れるんじゃないかって…」“怒る名将”ポステコグルーのブチ切れ伝説…“偽SB”松原健が語る「それでもボスが信頼された理由」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAFLO SPORT
posted2024/02/12 11:03
2019年、松原健とJ1優勝の喜びを分かち合うアンジェ・ポステコグルー。アタッキングフットボールの当事者たちが語る「ボス」の素顔とは
横浜F・マリノスが真の「ファミリー」になった日
9月14日のホーム、サンフレッチェ広島戦で先発復帰すると優勝を決める最終節(12月7日)のホーム、FC東京戦までその座を譲らず、すべて90分フル出場を果たした。
ボスを信じた先に、シャーレが待っていた。
「試合に出ている選手、出ていない選手にモチベーションの差がなくて、むしろあまり出ていない選手のほうが練習でもバチバチにプレーしていたし、チームを盛り上げていました。だからあの一体感が出せたと思うし、まさにボスの言うファミリーになっていたんじゃないかって思います」
指揮官はアタッキングフットボールを植えつけて2021年シーズン途中、セルティックからのオファーに伴い、チームを去った。
ボスがやってきた2018年シーズン以降ずっとF・マリノスでプレーし、受け継いだアタッキングフットボールの火をピッチ上で灯し続けているのはキャプテンの喜田拓也と松原、2人だけになった。
「ボスの言葉で一番印象に残っているのは“選手として最も大事なことはいかにお金を稼いだかじゃない。いくつタイトルを獲ったか”。自分のなかにグサリと突き刺さっていて、F・マリノスでプレーすればタイトルを狙うチャンスが絶対にあると信じているから、こうやって長く在籍させてもらっています。その価値観を教えてくれたのはボスだし、監督が代わろうとも自分たちがこのF・マリノスで目指すのは、変わらずアタッキングフットボールだと思っています」
2年半チームを率いたケヴィン・マスカットがチームを離れ、同じくボスのもとセルティックでコーチを務めた元オーストラリア代表のレジェンド、ハリー・キューウェルが新監督に就任。チームは新しいステージに入ろうとしている。
アタッキングフットボールを、そしてタイトルを。
マツケンの心には、今もボスの信念が強く宿っている。
<#2「松永成立が語るポステコグルー」に続く>