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16年ぶりJ1で東京ヴェルディはどう戦うか「外国人も獲れたけど…」「平均24.1歳のメリットを活かすなら…」城福監督と江尻強化部長が明かす戦略
posted2024/02/08 17:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Tatsu Ikeda
16年ぶりにJ1に復帰する東京ヴェルディが2月3日、沖縄トレーニングキャンプでの練習試合で昨季6位の名古屋グランパスに4-1で快勝した。
感想を求められた城福浩監督は、しかし、少し困った様子で切り出した。
「選手には謝りました、今日は。相手が万全の状態でできない、3本以上やれないマッチマイクしか組めなくて申し訳ないと」
昇格プレーオフに回った中でのスケジューリング
実は名古屋は前日に浦和レッズと45分×4本の練習試合をこなし、45分×2本のヴェルディ戦には若手や練習生が出場していた。対するヴェルディは主力選手が45分ずつ出場しており、このトレーニングマッチの位置付けが両チームでは大きく異なっていたのだ。
「1カ月半くらい遅れをとっていたなかで、やっていただいたグランパスさんには感謝しています」
城福監督がそう強調したように、名古屋のスケジュールがすでに決まっているなかで、なんとか組んでもらった練習試合だったのである。
J1の各チームは通常、シーズンが終了する前に、翌シーズンのキャンプの準備に着手するものだ。
一方、ヴェルディがJ1昇格プレーオフ決勝を制したのは12月2日のこと。予算の都合で近年は静岡で張っていたキャンプ地を沖縄に切り替えたのは、シーズン終了後に選手たちからの要望を受けてのことだった。指揮官が説明する。
「やっぱり暖かいところで準備できれば怪我も減るし、J1とも練習試合ができるし、選手たちのモチベーションも高まると。昇格して予算も増えたから、それなら沖縄でやろうと。ただ、その時点で他のクラブから1カ月半くらい出遅れていて、県内のキャンプ地はどこも抑えられているし、練習試合の相手を探すのも難しいんですよね」
移籍マーケットで見せた熟練の振る舞い
とはいえ、転んでもただでは起きないのが新生・ヴェルディだ。
「名古屋の若い選手たちが見られるので、楽しみなんです」
そう語るのは江尻篤彦強化部長である。出場機会に恵まれない有望株を見つけたら、期限付き移籍で獲得してヴェルディで磨きたい――というわけだ。
「移籍ウインドウは3月末まで開いていますからね」という言葉からも、虎視眈々とダイヤの原石を狙っていることがうかがえる。
この貪欲なスカウト力こそ、新生・ヴェルディの魅力と言えるだろう。