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「クボと交換したユニフォームを今も大切にしている」“バルサの心臓”デヨングが語った…久保建英23歳を絶賛「日本代表にも驚いたよ」
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/10/21 17:02
バルセロナでインタビューに応じたフレンキー・デヨング(27歳)。2019年1月にアヤックスからバルセロナに移籍した
「ベースを構成しながら目指しているのは、攻守両面で精度をあげて、より多くのゴールチャンスを作りだすこと。さっきも言ったように、ゴール自体はこのポジションでプレーしている今は、あまり優先順位として高いわけじゃない」
バルサの中盤における攻撃面の鍵を握るのは、このデヨングとペドリだ。ペドリに関しては言うまでもない。怪我することなく気持ちよくプレーすることさえできれば、彼の存在自体がバルサとなる。
一方で、デヨングは攻守両面における中心だ。
ブスケツの不在は、プレー面に関してはメッシが抜けたのと同じくらいのインパクトをチームに与えた。デヨングにかかる負担も増大した。
しかし当事者のデヨングには、偉大なる先人の穴を埋めるという感覚はない。
「ブスケツの穴を埋めることなんてできない。15年間、バルサの中盤は彼を軸にやってきたわけで、そもそも代替不可能なんだ。僕らは別のやり方で補う必要がある。これまでブスケツがやってたクラシックな4-3-3のアンカーも、個人的にはできなくはない。実際にバルサでやったこともある。でも、やっぱり違うんだ。あのポジションに入るとき、絶対的に重要なことがある。それが、むやみに動いてはいけないということ。ピッチの中心に構え、あまりポジションを崩さずに戦況を読んで的確なプレーを選択する。まさにブスケツのための役割だ。でも、僕は動く。そういうスタイルだからね。攻撃に絡むために前方にも飛び出していくし、サイドにも出ていく。静的なブスケツと違って、動的な僕がアンカーに入れば、中盤に穴を開けてしまうことになる」
「マンチェスター・シティの試合をよく見る」
自由にやるのが好きだとデヨングは言う。
たしかに、動きを禁じられたデヨングは最大の持ち味を失うだろう。デヨングはバルサの中盤でも希少な、単独で相手を剥がし前へ進む推進力を持っている。彼が個でかせぐ数メートル。それはかつてほど中盤で相手を圧倒できないバルサにおいて欠かせない要素だ。
デヨングは詰まったエリアでもキープからの反転と3歩目までの速さで、するすると抜け局面をあっさり打開する。もちろん、やりすぎない戦術的道徳もしっかり兼ね備えている。
どんなスタイルのチームも、どんな哲学を持つ監督も欲しがる存在だろう。
アヤックスでいきいきとプレーし、カンプ・ノウでバルサイズムを学んだデヨングは、時代によって求められるものの変化も肌で感じている。