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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
なぜ遠藤航や冨安健洋は“シント経由”でステップアップできたのか? 岡崎慎司が語る“欧州で成り上がる秘訣”「彼らが鍛えられたのは…」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2024/01/20 11:03
2018年、シント・トロイデンVVでチームメイトだった冨安健洋と遠藤航。両者とも同クラブをステップに、ビッグクラブへの移籍を果たした
「はい。十数年ヨーロッパでプレーするなかで、僕は日本人ということを大切にしなくちゃいけないと思っていたし、チームのためにという気持ちを大事にしてきた。たとえば、個を主張し、自分の評価を最優先に考える選手たちのなかで、悔しい思いもしました。そういう組織のなかで、日本人のフォア・ザ・チームのメンタリティが活きた部分、評価された面もあります。だけど、遠回りをしてきたなとも思う。そういう感情がなければ、もっと成長できたかもしれない。だから、ヨーロッパへ来る若い日本人選手には遠回りをしてほしくないとも考えていました。STVVに来て、若い彼らを見ていると、僕とは違うメンタリティだなと痛感します。ある意味達観しているなと感じることもある。そういう選手が、今後どんなふうに成り上がっていくのか、それを見てみたいと思いますね」
――若い選手にアドバイスをすることはあるんですか?
「尋ねられれば、答えることはあります。でも、繰り返しになるけれど、僕が歩いてきた道、僕らの世代を取り巻いた環境と、今ヨーロッパへ来る若い選手とでは何もかも違う。ステップアップを前提にヨーロッパへ来る選手に求められるメンタリティがどういうものなのか。それを選手自身だけでなく、日本の指導者や代理人の方々も考える必要があると思います。クラブによっても異なりますし、一概にこうだという答えはないかもしれない。ヨーロッパの移籍市場というのは非常に流動的です。世界の経済とも関係がある。今いるクラブで活躍したことで、移籍金が上がり、かえって移籍が難しくなるケースもあります。ステップアップしていくというのは本当に難しい。ただ、20代前半でヨーロッパへ来る選手も増えているので、多少時間がかかっても、やり抜く姿勢で戦ってくれればと思います」
<前編から続く>