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「Jから直接ブンデスに行けた時代は恵まれていた」日本人はもっとシント・トロイデンを活用すべき? 岡崎慎司37歳の提言「苦労する必要はない」
posted2024/01/20 11:02
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
2017年に日本企業が経営権を取得して以降、多くの日本人選手を獲得してきたベルギーリーグのシント・トロイデンVV(以下、STVV)。遠藤航、鎌田大地、冨安健洋といった選手たちが、同クラブをステップに4大リーグの強豪へと羽ばたいていった。10年以上にわたってヨーロッパでキャリアを積み、2022年夏にSTVVに加入した37歳の岡崎慎司は、「日本人が周りにいる環境」をどう感じているのか。「日本人選手はもっとSTVVを活用すればいい」――その真意を訊いた。(全2回の1回目/後編へ)
「STVVで活躍しても半人前なんじゃないか?」
――以前はSTVVに対して、懐疑的な見方をされていましたね。
「そうですね。日本人スタッフ、選手がたくさんいて、手助けしてもらえる環境のなかにいることが選手にとってタメになるのかと思っていました。せっかくヨーロッパに来たのに、“リトルトーキョー”みたいなクラブで活躍できたとしても、本当にヨーロッパで活躍したことになるのかな。まだまだ半人前なんじゃないのか? って」
――もっと苦労する場所のほうが成長できると。
「僕らの世代はそう考えていました。苦労するのは当然で、これを克服しないと成長できないと思っていたし、そういう環境に飛び込むことが挑戦だと。でも、ヨーロッパに来て10年以上が経った今思うのは、別に苦労をする必要もないのかな、ということ。今、ヨーロッパに来ている日本人選手を見ていると、明らかに僕らの世代とは考え方が違うと感じます。僕らみたいに『苦しい思いをしてこそ』といったマインドは薄い。でも、そういう感覚こそ、ヨーロッパに適応しやすい思考なんじゃないか。僕らはかたくなで、考えすぎていたのかもしれません」
「帰国する選択肢はなかった」STVV加入の経緯
――岡崎選手がSTVVへ加入した経緯を改めて教えてください。
「2022年夏にスペイン2部リーグのカルタヘナでの契約が満了し、移籍先を探しました。スペイン3部からオファーはあったのですが、ワールドカップに出たいという思いもあり、カテゴリーを下げるわけにはいかない。そういうなかで、練習参加からでよいので検討してくれないかと、代理人もいろいろと動いてくれました」