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「カマダのアジア杯落選、モリヤスは説明したか?」イタリア番記者も驚き…“味方がパスすら出さない”鎌田大地に酷評より同情論が強いワケ 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/01/04 17:00

「カマダのアジア杯落選、モリヤスは説明したか?」イタリア番記者も驚き…“味方がパスすら出さない”鎌田大地に酷評より同情論が強いワケ<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

日本代表常連だった鎌田大地のアジア杯メンバー落選は、新春早々の当地ローマでも驚きを持って伝えられたそうだ

 正月に極東から届いた思わぬ知らせは、彼らの間に波紋をもたらしている。

 元日の現地SNSで盛り上がった議論を見る限り、彼らの多くは鎌田に対し、純真で盲目なシンパでもなければ、辛辣で冷めた皮肉屋でもない。さまざまな意見を集めたのが、以下の投稿だった。

「落選によって今後の鎌田の選択肢は2つ。一つは悔しさをバネに代表再招集をつかみとるべく、ラツィオで活躍できるよう奮起する。もう一つは、あまり考えたくないが、鎌田が『どうせ6月になればフリートランスファーでおさらばだ』と自暴自棄になって、これまでのような気迫のないプレーを続けるか」

酷評を受けても良識派から同情的な声が多いワケ

 無論、冬市場での移籍というもう一つの可能性もあるが、現地のファンの間では鎌田のとるべき道を巡って議論が湧いている。

 意外なようだが、地元メディアに酷評されながらも、鎌田には未だ同情的な声が多い。

 プロである以上、結果を出していないことが批判の対象となることは前提として、本来のポジションであるトレクアルティスタ(トップ下)としてプレーさせてもらえず、インサイドハーフにコンバートしたサッリにも鎌田低迷の責任の一端はある、と決して少なくない数の良識派ラツィアーレは考えている。

 最近になり、ようやくチームの成績が安定してきたことで表面化こそしていないが、チームメイトたちの鎌田へのパス頻度が極端に少ないことは現地でも周知の事実だ。

 一方で――この情報過多時代に、頑固な戦術家サッリが自らの代名詞である4-3-3を捨ててまでトップ下を使うサッカーの可能性がほぼありえないことは移籍する前からわかっていたはずで、鎌田の見通しの甘さを指摘する声もある。

 指揮官やラツィアーレが鎌田に望んでいるのはフランクフルト時代のような、積極的に得点に絡むプレーだ。だが、それが実現できない理由を鎌田本人のみに押し付けるのは不条理でありナンセンスだと心あるファンはきちんと見抜いている。

鎌田へのブーイングに“中傷的意味合い”は現状ほぼない

 20年以上前、セリエAにおける日本人プレーヤー黎明期には、聞くに堪えないひどい野次や人種差別的な罵倒が地方クラブのスタジアム中に飛び交っていた。特に前評判が高ければ高いほど、結果が出せない時期に不快な口撃は増したものだった。

 昨年のラストゲームとなったフロジノーネ戦に先発した鎌田も期待を裏切る低調なプレーに終わり、後半に交代してベンチへ下がる際にはブーイングを浴びている。

 ただし、侮蔑の匂いはない。

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