海外の現場からBACK NUMBER
サッカーアジア杯“1月開催”はやめるべき? “最大9試合欠場”久保建英が漏らした本音「チームメイトからしたら『何してるんだ』という話」
posted2024/01/01 17:02
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
JIJI PRESS
アテネの石畳を歩いていると、三笘薫のTシャツを着た英国人ファンとすれ違った。ELの試合を見るためにブライトンから飛んできたという。三笘についてひととおり賛辞を述べたあと、残念そうにつぶやいた。
「でも、1月にアジアカップで離れるんだよなあ」
翌週、スペインのビジャレアルでも似たような光景を目にした。レアル・ソシエダを見るためにやってきた熱心なファンは、1月の久保建英の離脱がいかにチームにとってマイナスなのかを不安げに語っていた。
「久保はチームにとって欠かせないのに、この時期に抜けるのは痛すぎる。なんでこの時期にやるんだ?」
どちらも欧州カップ戦出場圏内を狙うクラブで、ファンの不安と不満は理解できる。彼らだけでなく、欧州で主力となっている選手たち、守田英正のスポルティングや伊東純也のS・ランス、堂安律のフライブルク、菅原由勢のAZなどのファンも同じ気持ちのはず。それ以外にも多くの選手がチームに穴を開けることになる。日本人だけでなく、韓国のソン・フンミンなどアジアの代表選手や、同時期に開催されるアフリカネーションズカップに参加するアフリカの各選手も同じだ。当事者の久保に聞くと、こんな話をしていた。
「アジアカップに行くとなったときに、僕は最大で9試合くらい出られなくなる可能性もある。チームメイトからしたら何してるんだという話なので、そういったことを言われないように今のうちに活躍したい」
選手にとっていいことは一つもない
当然、選手にとってはクラブも代表も大事なわけで、決められたカレンダーに従うだけだ。9試合分を今活躍するというモチベーションに変えてプレーするしかない。
欧州がグローバルなサッカーシーズンの基軸となっている以上、冬開催はやめるべきだ。今大会は、本来は中国で夏開催だったもののコロナ禍により変更された事情もあるが、夏開催できる国に絞るという判断はできなかったか。クラブやファンだけでなく、チーム内でポジション争いをする代表選手は帰ってきたらまた競争を始めなければならず、選手にとってもいいことは一つもない。
ちなみに2027年にサウジアラビアで開催される次回大会も、時期は1月。3年後も欧州各地でファンのため息を耳にすることだろう。