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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
アジア杯落選…鎌田大地が語った「難しい時期」は続くのか「カマダを信じる。だが」ラツィオの戦術魔サッリも本音で悩む「文化の問題」
posted2024/01/04 17:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Insidefoto/Getty Images
ラツィオは先月29日のセリエA第18節フロジノーネ戦に3-1で快勝し、2023年のラストゲームを白星で締めくくった。
主力の多くを欠きながら、昨夏に入団した選手たちが軒並み活躍して掴み取った逆転勝利。蹴り納めというだけでなく、“明日のラツィオ”の萌芽を示したことで特別な意味合いのある年内最終戦だった。年の瀬のオリンピコに集った4万人のラツィアーレたちも沸きに沸いた。
逆転勝利の中で“取り残された”形に
だが、チーム全体が新年お祝いムードの中、MF鎌田大地だけが浮かない顔をしている。鎌田はひとり“取り残された”からだ。
左インサイドハーフとして先発した鎌田は得点にからめず、PKで相手に先制を許した後、66分にベンチへ退いた。
鎌田の交代後、ラツィオはまったく別のチームになった。左右の両サイドがボールで繋がり、70分からFWカステラノスとFWイサクセンが立て続けに相手ゴールを陥れた。わずか数分間でゲームをひっくり返した勢いは衰えず、84分にはCKからDFガバロンがダメ押し弾。後半アディショナルタイムにもなお追加点を狙う貪欲な姿勢を見せたチームに、普段は辛口の指揮官もさすがにご満悦だった。
象徴的だったのは、試合後半に3トップ中央のFWカステラノスに右のFWイサクセン、中盤で鎌田と組んだMFゲンドゥジーとMFロベッラ、そして左サイドバックのDFペッレグリーニという昨夏入団したフィールドプレーヤー6人が初めて同時にプレーしたことだ。
ともに太ももの筋肉故障の主将インモービレと司令塔ルイス・アルベルトが不在で、守備の要ロマニョーリも欠場。快足DFラッザリは出場停止中で右ウイングのF・アンデルソンは前半限りでベンチへ下がった。昨夏退団した万能MFミリンコビッチ・サビッチを加えれば、ここ10年近く強豪ラツィオを支えてきたアラサーの主力プレーヤーたちが誰一人いない中で、今季のチームが大の苦手としてきた劣勢からの挽回劇を若手だけで完遂したということに大きな意義がある。
派手な逆転劇の中、鎌田はピッチにいなかった
だが、派手な逆転劇の中に66分で退いた鎌田はいなかった。