スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
〈箱根駅伝の事件簿〉沿道の母から「もういいからやめなさい!」、「前日初めてTVで箱根を見た」コース間違いに「山の神」…歴史のウラ話
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/12/31 17:02
「山の神」として一躍有名になった東洋大時代の柏原竜二
「腓腹筋が切れたんです。一瞬、バチっていう聞いたことがない音がして。その音は今も、脳天にイメージとして残ってますね」
大会直前に痛めたアキレス腱を気にしつつも、5キロ過ぎに抜け出そうとすると肉体が悲鳴を上げた。キャプテンとしての責務を胸に、監督の制止を振り切ってでも走ろうとしたが、2キロ先で涙のリタイアとなった。
徳本は大学時代から“自分を表現する”タイプのランナーだった。茶髪にサングラス姿は異彩を放っていたし、自身でブログを運営するほどだった。しかし“出る杭は打たれる”の言葉通り、レース後、徳本のブログは一夜にして炎上した。
「だから当時はアンチ一色だった印象があります。まさに徳本祭り(笑)」
シード権を失った法政大。それでも翌年度の箱根予選会、後輩選手は前主将のスタイルを継承するかのように茶髪サングラスで登場し、見事本選出場をゲットしたのだ。
「正直、他人にはどう思われても良いんです。申し訳なかったのはやっぱりチームのみんなで、いくら謝っても謝りきれない」
いやー、初出場の時より嬉しいです
その後、徳本は日清食品に入社後、03年と04年の日本選手権男子5000メートルを連覇するなどの実績を残した。そして2011年に駿河台大学の選手兼任コーチとなり、翌年からは監督に就任。2022年新春に同大学史上初となる本選出場を果たし、記念すべき第100回大会でも予選会12位で2年ぶりの箱根路へと戻ってきた。
「いやー、初出場の時より嬉しいです。めちゃくちゃ嬉しい」
私生活の“ルール厳格化”などで規律を管理する方式を取った今季、徳本が率いるチームはどんな走りを見せるか。
思わぬ悲劇が起きた「寺田交差点」
<名言3>
じつはちゃんと箱根駅伝をテレビで見たのは、自分が走る前の日の往路が初めてでした。
(寺田夏生/NumberWeb 2022年3月31日配信)
◇解説◇
駅伝ファンであれば、誰もがその存在を知る交差点がある。東京・大手町の箱根駅伝復路ゴール地点の直前に位置する、通称「寺田交差点」である。
そこで思わぬ悲劇が起きかけたのは、2011年のこと。