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青学大“じつは優勝が期待されていない代”から急激に強く…何が?「寮内での飲酒禁止」「朝練は5時30分から」箱根駅伝“あの初優勝”の真実

posted2023/12/31 11:03

 
青学大“じつは優勝が期待されていない代”から急激に強く…何が?「寮内での飲酒禁止」「朝練は5時30分から」箱根駅伝“あの初優勝”の真実<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

青学大“期待されていない代”が語る箱根駅伝初優勝の裏側

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中村計

中村計Kei Nakamura

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Takashi Shimizu

 箱根駅伝の過去10大会で実に6度の優勝――青山学院大はいかに常勝軍団となったのか。「原監督は確かにすごいけど……」「実際に変えたのは僕ら」。2015年の初優勝メンバーたちが語る“青学大の真実”。【青山学院大学「初優勝は僕たちの改革から」』(2020年12月17日発売、Number1017号掲載)】を特別に無料公開します。《全2回の1回目》

神野大地の衝撃「こんなにハマるとは…」

 速過ぎる。その不安は、しかし、すぐに特大の期待感に変わった。

 2015年、第91回箱根駅伝。4区から5区へとつなぐ小田原中継所で、青山学院大学はトップと46秒差の2位で襷を受けた。そして、山。向かったのは、3年生の神野大地だ。運営管理車に同乗していた当時のマネージャー髙木聖也が回想する。

「最初の1kmが速かった。監督の原(晋)さんも『ちょっと落とせ』って。そわそわしてましたね。でも、神野は、がんばってない感じなのに5km地点を過ぎてもまだ速かった。速過ぎるんじゃなくて、調子がいいんだろう、と。なので、監督も『そのまま行け』って。10km過ぎたあたりで先頭の駒澤を抜いてからは、監督もようやく落ち着き始めて、同乗している人たちにお菓子とか配り始めてました。そこからは楽しいだけでしたね」

 青学大の常勝軍団としての歴史は、この神野の快走から始まったと言っていい。

 神野なら鬼門の5区を1時間18分台で走れると踏んでいた。そこまでトップから2分差以内につけていれば、山で首位を捉えることができる計算だった。ところが、神野はその期待を大幅に上回った。

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