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プロ野球PRESSBACK NUMBER
高卒わずか3年“まさかの戦力外“あの有望DeNA選手…ファン疑問「なぜ引退したのか」取材を断っていた田部隼人が初めて語る“本当の理由”
posted2023/12/28 06:03
text by
井上幸太Kota Inoue
photograph by
Sankei Shimbun
かつてプロ野球界ではこんな定説があった。
「高校から即プロ入りした選手は、同じ年の大卒選手たちが入ってくるまでが勝負」
大学進学を選んだ同世代の選手がプロに進むまでの時間、つまり「4年以内」に結果を出さなければ、首筋が寒くなってくる……。そんな意味合いである。見方を変えれば、「少なくとも入団から4年までは球界にいられるのが普通」と考えられていた。
だが、現代のプロ野球では、この定説にあてはまらない“早期退団”が増加している。2023年の選手を例に挙げると、ロッテの西川僚祐、ソフトバンク育成の早真之介らが高卒3年で、独立リーグを経て20歳でドラフト指名されたオリックスの西濱勇星はわずか1年で、球界を去った。
今回取り上げる元プロ野球選手も、高卒わずか3年目のシーズン終了後に戦力外通告を受けた。名は田部隼人。島根の開星高時代、180センチ台中盤の大型遊撃手として評価され、19年のドラフト会議でDeNAから5位指名を受けた。
ファンも疑問だった“引退決断”「田部隼人 なぜ」
球団からの期待値を計る数字の一つに、「二軍での打席数」がある。球団が次代の主力と期待する選手には、当然多くの実戦機会が与えられる。プロ3年目の22年イースタンリーグで、田部はチームで2番目に多い290打席を消化。自身初の一軍出場も経験した、まさに有望株、“プロスペクト”と言っていい存在だった。
一軍の景色を見て、勝負の4年目へ――そう思われていた矢先の戦力外通告だった。まだ20歳と若く、育成契約やトライアウト挑戦の選択肢もあったが、現役引退を発表した。具体的な理由は明かされなかった。
田部の決断を疑問に思うDeNAファンも少なくないようで、Googleで検索すると「田部隼人 なぜ」が上位に表示される。
引退直後、複数のメディアから取材を打診されたが、「今は自分の感情を上手く伝えられない。自分の本音を隠したまま話すことで、間違った情報がファンの方や色々な方に伝わるのに抵抗があった」と、すべて断ってきた。
あれから約1年の月日が経った今、故郷の島根県松江市で、田部と会うことができた。