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プロ野球PRESSBACK NUMBER
高卒わずか3年“まさかの戦力外“あの有望DeNA選手…ファン疑問「なぜ引退したのか」取材を断っていた田部隼人が初めて語る“本当の理由”
text by
井上幸太Kota Inoue
photograph bySankei Shimbun
posted2023/12/28 06:03
2019年ドラフト会議でDeNAからドラフト5位指名を受けた田部隼人。右は当時監督のアレックス・ラミレス
一軍デビューした“高卒3年目”オフにまさか…
その知らせは突然だった。
2022年10月某日。「みやざきフェニックス・リーグ」の試合を終えて宿舎に戻ると、二軍の統括マネージャーに呼び出された。「来季からは支配下選手としての契約は結ばない。育成での再契約になる」。もちろん、田部も通告の可能性がゼロだと思っていたわけではない。これまでも、志半ばで球界を去る先輩たちを見ていたし、ドラフト同期で同じく高卒入団の浅田将汰も、このオフに戦力外通告を受けたことも聞いていた。
それでも、簡単に飲み込めなかったのには、いくつか理由があった。
まず、宮崎にいたこと。ファームの全日程終了後に行われるフェニックス・リーグは、若手選手に追加の実戦機会を与える場だ。実戦を通じて、来季に向けた課題をあぶり出す“教育リーグ”とされている。
球団が指定した選手のみが参加するリーグであり、南国での武者修行は、事実上の契約延長を意味していた。それだけに、「フェニックスに呼ばれたのになぜ?」という感情が芽生えた。
さらに、プロ3年目は、田部にとって大きな飛躍の年でもあった。
2年目は打率.185に低迷。シーズン中から「何かを変えないといけない」と肉体改造に着手した。ウエイトトレーニングと食事量を増やし、21年の年末には、体重90キロにまで到達。ビルドアップに成功した。その後、「クワさん」と慕う桑原将志の自主トレに参加し、キャンプに入る前の最終調整を進めた。田部が振り返る。
「クワさんの自主トレって、かなり走るんですよ。体重を90キロまで増やした後に走り込んで、自然と87〜88キロぐらいになって。過去にないぐらい、めちゃくちゃいい状態でキャンプに入れました。キャンプが始まっても、今までにないくらいバットが強く振れて、バンバン(スタンドに)放り込める。『これはやれる』と思えました」
4年目に向けて“やるべきこと”も見えていた…
22年シーズン開幕間もない4月6日には、初の一軍昇格をつかみ、同日の阪神戦延長10回に、代打で一軍初打席を経験した。体調不良の選手に代わっての昇格で、本人は「運もありました」と謙遜するものの、オフに肉体改造を成功させ、キャンプからシーズンインまで好調をキープしていたことが最大の要因だったのは間違いない。