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プロ野球PRESSBACK NUMBER
高卒わずか3年“まさかの戦力外“あの有望DeNA選手…ファン疑問「なぜ引退したのか」取材を断っていた田部隼人が初めて語る“本当の理由”
text by
井上幸太Kota Inoue
photograph bySankei Shimbun
posted2023/12/28 06:03
2019年ドラフト会議でDeNAからドラフト5位指名を受けた田部隼人。右は当時監督のアレックス・ラミレス
その後は、左足の故障で離脱した宮﨑敏郎に代わる形で、同月23日にも一軍登録され、翌日の広島戦で「8番・三塁手」として初のスタメン出場も経験した。
5月以降は一軍から遠ざかったが、田部自身の中で原因は明確だった。
「自分、もともと痩せやすい体質で、3年目はシーズン途中で84〜85キロぐらいまで落ちてしまった。この2、3キロの違いが大きすぎて、イメージ通りにバットが振れなくなりました」
愛用していた、開星高の先輩でもある梶谷隆幸(巨人)と同型のバットは、プロの世界でも長い86.5センチ。長く、ヘッドに重みを感じるように設計され、万全の体であれば飛距離を生む強力な武器になるが、痩せた体には扱いきれぬ代物だった。
とはいえ、田部は一軍を経験した。5打席で安打を放つことはできなかったものの、翌シーズンに向けて光明も差していた。
「プロ1、2年目にファームでお世話になった(田中)浩康さんから、『タイミングの取り方はいい』と言ってもらっていました。一軍でヒットは打てなかったんですけど、タイミングが合わなかったことはなくて、そこは大きな自信になったんです。あとは、どれだけ強く振れるようになるか。もう一度体づくりを見直して、年間を通じて体重と筋力をキープする。これがクリアできたら、一軍でもやれる。自分の中では明確でした」
育成契約の打診も…納得できず
4年目に向けて、並々ならぬ決意で宮崎に入った。フェニックス・リーグの間、チーム随一のフィジカルを誇っていた細川成也(当時DeNA)に弟子入りもしていた。
「コブ(小深田大地)と一緒に、細川さんに見ていただきました。筋トレとか、食事のこととか、朝早く起きてストレッチすることとか、本当にいろんなことを教えてもらって。フェニックス中は球場への出発が8時とか9時だったんですけど、自分とコブは5時半くらいに起きて、来シーズンを戦い抜ける体力を付けようと、ランニングやストレッチをしていました」
来季に向けて走り出していた矢先――。それだけに、通告を簡単に飲み込めなかった。支配下を戦力外となる理由を問う田部に対し、マネージャーは言った。