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元日本代表DF・秋田豊はなぜ“Jクラブの社長”になったのか?「これは“リアルサカつく”ですよ」「僕は顔が名刺だから」53歳のタフな挑戦 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/09/13 18:31

元日本代表DF・秋田豊はなぜ“Jクラブの社長”になったのか?「これは“リアルサカつく”ですよ」「僕は顔が名刺だから」53歳のタフな挑戦<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2021年、いわてグルージャ盛岡をJ2昇格に導き、J3の優秀監督賞を受賞した秋田豊。現在は同クラブの運営会社でオーナー兼社長を務めている

シーズン移行への持論「Jのレベルを考えると…」

 地方から日本サッカーを盛り上げるという意味で、秋田の存在はJリーグにとって価値あるものと言っていい。いわてグルージャ盛岡だけでなく、Jリーグ全体の未来にも目を向けており、ここにきて議論が本格化してきたシーズン移行にも触れた。

「Jリーグからはシーズン移行の話が出ていますけれど、移行することで選手たちがどうなるのか。シーズン移行したら、選手はもっと外へ出ていくでしょう。Jリーグのレベルを考えると、外にどんどん出ていくことがすべていいことなのかな、と」

 そういって秋田は、自身の現役当時に触れる。

「ラモン・ディアスがいて、カレカがいて、エムボマがいてと、色々なタイプの外国人ストライカーとマッチアップできた。Jリーグで海外のトップレベルの選手と対戦していたので、海外へ行かなくても経験を積むことができた。だから、1998年のフランスW杯でバティストゥータやスーケルとマッチアップをしても、『あ、このタイプなんだな』と、物怖じすることなくできたんです」

 日本人選手の海外移籍を、否定しているわけではない。秋田が経営の「芯」とする価値を、いかに維持向上していくのかを問うているのだ。

「日本人選手も外国人選手も、Jリーグでやりたいと思わせることが必要じゃないか、という話をJリーグ側にしたんです。僕の現役当時は、レオナルドやジョルジーニョのような現役のブラジル代表選手がJリーグでプレーしていた。彼らと同じレベルの外国人選手が、いまは皆無と言ってもいいぐらいですから。Jリーグの価値を、どうやって上げていくのか。価値のないものに、人は関心を示してくれないですから」

 ホームスタジアムの改修からトップチームの練習環境の整備、さらにはアカデミーの充実など、「やるべきことはホントに多いです」と言う。だが、表情に悲壮感はない。むしろ充実感が漂う。

「僕自身は10年ぐらいのスパンで、このクラブを大きくしていきたいと考えています。社長になってみて、難しいことにもたくさん気づかされましたけど、それぐらいのほうが『やってやろう』という気持ちになりますから」

 タフでハードなCBだったプレースタイルそのままに、秋田は難局を切り開いていく。

<前編から続く>

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