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「なぜか町田だけ批判されますよね」禁断の移籍、ロングスロー、時間稼ぎ…J2首位チームに“賛否の声”、異例の転身・黒田剛監督はどう答える?
posted2023/09/08 11:11
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Hideki Sugiyama
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「19人+5人」の大型補強
J2で首位を快走するFC町田ゼルビア。直近33節の敵地でのザスパクサツ群馬戦は引き分けに終わったが、猛暑下のなか行われた8月の4試合でも3勝(1敗)を挙げるなど2位以下との勝ち点差を保っている。そんななか、3-1と勝利した8月5日の敵地でのファジアーノ岡山戦(29節)は今季の町田を象徴した試合の1つだったと言えるだろう。
町田は今季開幕前に大量19人の大型補強を行ったものの、開幕後も積極的な補強を続け、さらに5人の新加入選手を加えている。岡山戦では、そのうちの4人(DF鈴木準弥、MF松井蓮之、MFバスケス・バイロン、FW藤尾翔太)が先発。最前線に入ったFW藤尾は攻撃の起点としての役割を果たし、MFバスケス・バイロンも加入後4試合連続で先発のピッチに立ち、徐々にチーム戦術にフィットしてきていることをアピールした。
先制されながらも前半のうちに追いつき、エース・エリキの今季16点目で勝ち越す(エリキはその後、清水戦で左ヒザを負傷し今季絶望となった)。71分にはいずれも途中加入組のDF鈴木のロングスローをMF松井がヘッドで繋いだところからダメ押し弾が生まれた。終盤にはレノファ山口FC(サガン鳥栖からのレンタル)から獲得したばかりのDF松本大輔も守備固めとして投入して勝ち切るなど、徹底して勝負にこだわる黒田剛監督の町田らしい戦いぶりだった。
ちなみに、前出のバスケス・バイロンのほか、黒田監督の教え子でもある青森山田OBの宇野禅斗、藤原優大の3人が揃って先発した初めてのゲームでもあった。
ライバルから“禁断の移籍”
7月に東京ヴェルディから加わったバスケス・バイロンについて黒田監督に聞く。
加入直後の7月9日、町田対東京VはJ2の首位決戦だった。加えて、ともに東京を本拠地とするローカルライバルの間柄だったこと、またその一戦が国立競技場で3万8402人のなか開催されたことでバスケス・バイロンの移籍は「シーズン途中での異例のタイミング」「ライバルからの禁断の獲得」と憶測を含みながら伝えられた。黒田監督はどんな思いで報道等を見聞きしていたのか。