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「沈黙ってお互い考えている時間だよね」世界選手権銀メダル、ミックスダブルス松村・谷田組は沈黙を認め合う 4人制とは違った“2人だけの時間”

posted2023/06/24 17:02

 
「沈黙ってお互い考えている時間だよね」世界選手権銀メダル、ミックスダブルス松村・谷田組は沈黙を認め合う 4人制とは違った“2人だけの時間”<Number Web> photograph by ©JCA IDE

4人制でお互いに活躍をしていた松村千秋と谷田康真。「ちあき」「やすまさ」という名前から愛称は「チャッスーペア」

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 それはまぎれもなく快挙だった。その男女ペアは歴史に名を刻み、日本に新たな未来を開いた。4月下旬、平昌五輪の会場でもある韓国・江陵で行われた世界ミックスダブルスカーリング選手権で松村千秋・谷田康真組が銀メダルを獲得したのである。ミックスダブルスペアが表彰台に上がるのは日本初であった。

 快挙に至るまでには、ミックスダブルスを取り巻く環境、男女2人でチームを構成する種目ならではの難しさなどいくつもの壁があった。それらをどう乗り越え、彼らはメダルを手にしたのか(全3回の第3回、これまでの記事は#1#2へ)。

 日本代表となった2人は2023年4月、世界選手権を迎えた。

 前年からの成長の度合いが試される試金石とも言える大会で、初戦からこれまでの大会以上のコンビネーションを見せ、1つ1つ白星を重ねていく。

メダルを懸けた準決勝はわずか数ミリの勝負に

 2つあるグループリーグのうちグループBで、最終戦こそ敗れたものの8勝1敗で堂々1位通過し準決勝に進出する。迎えたのはプレーオフを勝ち上がってきたノルウェー。

 序盤から息の詰まるような攻防が続く。互いに1点を取り合う形となり第5エンドを終えて3-2とリードも、第6エンド、後攻のノルウェーが2点を奪い、3-4。第7エンド、日本は1点にとどまり4-4とタイになる。

 同点とはいえ、最終第8エンドは日本が先攻。カーリングは後攻が有利とされることを考えれば、厳しい局面が続く。

 日本の第1投から始まり、交互にストーンが投じられる。最終投は松村。ここで見事なテイクアウトショットを決めてノルウェーのナンバーワンのストーンをはじき出す。日本がナンバーワンストーンに変わり、相手にプレッシャーをかける。

 ノルウェーのラストショットがハウス内に進み、止まる。円の中心に近いのはどちらか。見た目では判別はつかず、メジャー計測となった……。メジャーの針が反時計回りに大きく振れたほうが勝利を意味する。ノルウェーのストーンを計測した後、日本のストーンを測るとより針が大きく振れた。5-4、決勝進出が決まる。ミックスダブルス史上初のメダル獲得が決まった瞬間だった。谷田が、4人制を通じて日本男子で初めて世界選手権メダリストとなった瞬間でもあった。

ほんとうにありがとう

 計測を待っていた谷田と松村が、ハグして喜びを分かち合う。

【次ページ】 ショットを投げる前に「決まる」と思った

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