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「巨人ダントツ人気時代」はいつ終わった? 甲子園球児“好きなプロ野球選手”を調べてわかった…「FA制度」と「メジャー行き」の本当の影響 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2023/04/07 11:02

「巨人ダントツ人気時代」はいつ終わった? 甲子園球児“好きなプロ野球選手”を調べてわかった…「FA制度」と「メジャー行き」の本当の影響<Number Web> photograph by KYODO

1996年オフ、西武から巨人に移籍した清原和博。左は当時監督の長嶋茂雄

 だが、前年オフにFA制度が導入され、中日の4番・落合博満が巨人に移籍。この年、巨人は「10.8決戦」を制して4年ぶりのリーグ優勝を果たし、日本シリーズでは宿敵・西武を下して日本一に輝いていた。これによって、巨人は復権。その後もFAで清原和博、工藤公康、江藤智などを獲得し、人気や強さの維持に役立てた。つまり、“1993年のFA導入”に救われたのである。

メジャー選手「人気急増」の今

 しかし、1995年に野茂英雄がドジャースに入団して成功を収めると、メジャーに挑戦する選手が急増。2001年にはイチローがポスティングでマリナーズに移籍し、首位打者とMVPを獲得。2003年には巨人の主砲・松井秀喜がFAでヤンキースに渡って、2009年にはワールドシリーズMVPに輝いた。

 2000年代に入ると巨人戦の視聴率は下がり、近年の地上波ナイター中継は年数回しかない。

 令和の現在では、巨人1球団に人気が集中する現象は消え、メジャーの選手を好む球児が激増した。当初、FA制度は巨人にプラスに働いた。しかし、結果的にはメジャー行きを促した。時代の流れとしても、選手に与えられるべき当然の権利だったが、導入に積極的だった渡邉恒雄氏(当時・読売新聞社社長)はこの未来を予測していたのだろうか。

 ここまで見てきたとおり、巨人人気がダントツだった時代は過去のものになったと言える。では実際、センバツ球児が選ぶ「好きなプロ野球チーム」では何位にランクインしているのか? 調べると「若い世代は巨人に興味を失った」とは言い切れない、もう一つの側面が見えてきた――。〈つづく〉

参考資料
『第59回センバツ高校野球 出場32校総ガイド』(別冊週刊ベースボール春季号/1987年)
『第66回センバツ高校野球 出場32校完全ガイド』(別冊週刊ベースボール春季号/1994年)

#3に続く
甲子園球児の「好きなプロ野球チーム」はどこ? 1位ならずも“巨人の人気が落ちない”理由…カギは「BSテレビ中継」にあった〈ランキング〉

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