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「巨人ダントツ人気時代」はいつ終わった? 甲子園球児“好きなプロ野球選手”を調べてわかった…「FA制度」と「メジャー行き」の本当の影響
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byKYODO
posted2023/04/07 11:02
1996年オフ、西武から巨人に移籍した清原和博。左は当時監督の長嶋茂雄
清原とともに甲子園を沸かせた桑田真澄は11位タイ。一見低そうだが、打者は打者、投手は投手を「好きなプロ野球選手」に挙げる傾向があるため、絶対数が少ないピッチャーのランクインは少なくなる。ポジション別では、前年の沢村賞投手である今中と並んで1位タイだった。桑田は1992年から不調に陥っていたが、依然として人気は高かった。
PL学園でKKコンビの2年後輩に当たる立浪が2位。センバツ出場32校中17校の選手が名前を挙げた。母校では桑田、清原の各2票に対し、立浪は6票を集めた。身長173センチの立浪は1987年の甲子園で春夏制覇し、高卒1年目で新人王を獲得。2023年の集計で検証したように「小柄な体格」で大成した選手は球児から人気を得やすい。1987年の大石大二郎が7位タイ(パ・リーグでは清原に次ぐ2位)だったのも、身長166センチの影響もあっただろう。
FA制度→巨人が“一時的に”復権も…
実は、プロ野球の歴史を考える時、この1994年春の集計結果はエポックメーキングだった。前記事で検証した2000年と2023年も含めたセンバツ球児の「好きなプロ野球選手」を所属球団別に分け、各年のベスト5を挙げよう(数字は票数。MLB選手は傘下も含め、「メジャー」で統一)。
1987年春 160票:巨人 71票:西武 58票:阪神 33票:中日 16票:広島
1994年春 89票:巨人 88票:ヤクルト 83票:西武 47票:中日 42票:阪神 42票:広島
2000年春 172票:巨人 79票:西武 54票:広島 41票:ヤクルト 36票:オリックス
2023年春 119票:メジャー球団 94票:OB 85票:ソフトバンク 62票:巨人 60票:オリックス
基本的に、20世紀は巨人が人気面で圧倒していた。その中で、94年春はヤクルトがわずか1差で2位になり、「好きな球団」では巨人を抑えて1票差でトップに立っていた。野村克也監督が巨人一辺倒の時代を打ち破るような人気チームに育てていたのだ。