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ロングセラー「プロ野球選手名鑑」の舞台ウラ…昔は住所&タバコ量も記載、“特技・乳しぼり”のドラ1は「子供もいるので勘弁してください」
posted2022/02/15 11:01
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph by
Makoto Okano
【趣味】ビデオ映画の収集(ただしポルノ以外)(1985年版/阪神・和田豊)
【理想のタイプ】手塚理美から原田知世に気持ちが移ったが、さわやかタイプを求める路線は不変(87年版/巨人・香田勲男)
【寸評】自炊のレベル向上中。勝負メシはしょうが焼きやキムチ鍋など(2021年版/ヤクルト・高梨裕稔)
随一の情報量を誇る日刊スポーツは、『プロ野球選手写真名鑑』でも濃厚さを売りにしてきた。一体、どのような作り方をしているのか。同社の3人に話を聞きながら、住所や酒量、タバコの量、小遣い額の記載まであった80年代を中心に現在までの歴史を紐解く(敬称略。所属球団、ポジションなどは当時)。
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かつては選手の住所も記載! “ありきたりな内容”はNG
「いつから選手名鑑を作っていたか明確な資料はないのですが、会社には1963年版から保存されています。当時は非売品で、新聞拡張のためのプレゼントとして使われていました。出身校や前年の成績、ファンレターを書けるように住所も載っていた。70年代後半になると、小型のポケット版が市販されるようになりました」(編集局次長の沢田啓太郎氏)
創刊当初はオーソドックスな項目のみだったが、78年に『私の趣味』『好きな言葉』(※同年のみ)、翌年には『特技』が加わった。80年代に入ると『理想のお嫁さん像』『クセ、ゲンかつぎ』『酒量』『タバコ(1日)』『愛車』『小遣い』など年々増えていき、最高時には17を数えた。記者はこれらを監督、コーチ、選手に取材した上で執筆していた。項目は減少しているが、その方法は現在も変わらない。88年入社の沢田氏が続ける。
「巨人や阪神などの人気チームは番記者が多いので、複数で担当します。その他の球団は1人で書きます。若手の仕事ですね。1月の自主トレの時に名鑑のために必要な材料を集めます。私も『今日は5人に聞き終わるまで帰らない』など目標を決めていました。どの項目も、ありきたりなことを書いてはダメだと注意されました。趣味で『音楽鑑賞』『映画鑑賞』は基本的にNG。それしかないなら、何かしら付け加えろと。制約を設けられることで、意外な話を引き出せるケースもありました」
桑田の特技「アイスクリームまとめ食い。10個は軽い」
80年代の特技欄は凝りに凝っていた。