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「ミトマの急成長は正直サプライズだよ…体も細そうなのに意外とガッシリしているよね」ブライトン地元紙記者が語る“三笘薫25歳の転機”
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2023/01/26 17:06
レスター戦で衝撃のスーパーゴールを決め、2週連続でプレミアリーグ週間ベストイレブンに選出された三笘薫(25歳)
「精度を高めることと、逆に見えすぎてパスを出したり、(周囲から)シュートと言われて、 シュートを打ってしまうところがある。自分の判断でうまく自分の形を作っていければいいと思いますけど、まだそういう形がなかなかできていないので。そこは課題かなと思います」
もちろんこの1試合だけで完全に克服できたわけではないが、シーズン序盤に比べるとファイナルサードでの怖さは格段に増してきた。その中での圧巻のゴール──。アタッカーは結果を重ねることで自信が増していくだけに、今後に向けてもレスター戦の得点は極めて大きな意味を持ちそうだ。
「監督との関係?」三笘が語るデゼルビ
三笘が覚醒している理由として、真っ先に挙げられるのがロベルト・デゼルビ監督の存在だ。もちろん三笘自身が調子を飛躍的に上げていることや、W杯で経験した悔しさが糧になっていることもその理由に挙げられるだろう。だが一番の理由は、チーム戦術の中で三笘の個人能力が存分に生かされていることにある。
少し乱暴な言い方をすれば、デゼルビ政権の肝になるのが三笘とソリー・マーチの両ウインガーだ。「いかに三笘とマーチが相手選手と1対1の状況を作るか。ここが我々にとって非常に重要なんだ」とイタリア人指揮官が語っているように、この2人が戦術上のキーマンなのだ。
三笘にボールを届けるまでの過程も実に興味深い。デゼルビ監督のサッカーを端的に言えば、“後方部でボールを保持しながら、相手チームの選手たちをいかに前方へ釣り出すか”ということ。
「ビルドアップのやり方が決まっている。しかもそのバリエーションも多い」と三笘が明かしているように、最終ラインでボールをショートパスでつなぐことで、相手選手たちに前に食らいつかせる。そして、相手を前に引き出してスペースを作り、三笘のいるサイドに縦パスを入れる。このパターンを練習で繰り返しているという。ブライトンを率いる知将デゼルビについて、三笘は次のように語る。
「監督との関係? 戦術上、ワイド(=ウインガー)の選手は得点に絡まないといけないシステムなので、自分も得点の意識をより植え付けられていると思います。自分のオフザボールの動きも少しずつ改善できていると思う。そういうところで、いろんな刺激を受けています」
(監督と話をよくするのか?)ピッチの上だけですけど。ピッチ外では”10点決めろ”と言われています(笑)。ピッチ上では、状況によっての立ち位置と、とにかく自分がゴールを決める位置まで行くというところ。いろいろな決まり事があるので、その中で自分が動いているという感じです。(これまで指導を受けてきた監督たちとの違いは?)より具体的で、オートマティックです。それを全員が共有すれば、どんどんいい形でボールが回る」
さらに三笘は、「チーム戦術」と「自身の役割」の関係性について次のように説明する。