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「お前ストライカーだろ!」18歳福田師王が燃えた“怒声”と“同い年のブンデスデビュー”…覚悟の高卒ドイツ直行「時代を変えたい」
posted2023/01/25 11:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
JIJI PRESS
いよいよ高校ナンバーワンストライカーが海を渡る。
先日閉幕した高校サッカー選手権での活躍が記憶に新しい、鹿児島・神村学園のFW福田師王だ。
2023年1月から、ドイツ・ブンデスリーガの強豪クラブであるボルシアメンヘングラッドバッハ(以下、ボルシアMG)のセカンドチームに加入する。「4部リーグが主戦場」という見解が多いが、活躍次第ですぐにトップチームに昇格できるプロ契約だという。
身長は178cmと決して大柄ではないが、質の高い動き出しと身体の強さ、そして空中でのボール処理能力に優れ、ピッチの最前線では抜群の推進力とシュートセンスを発揮する。その才能は多くのJ1クラブが高1時から獲得に乗り出すほど注目を集めてきた。
「バイエルンの練習会に行くか?」
「最初は海外なんて選択肢は存在しなかったんです」
海外でのプレーを選択した経緯を訊くと、18歳の青年は素直にこう打ち明けてくれた。
海を渡る意識が明確に芽生えたのは、高2でエースとして出場した昨年度の選手権を終えた後。ある日、神村学園サッカー部を率いる有村圭一郎監督に職員室に呼び出された。
「バイエルン・ミュンヘンの練習会に行くか?」
突然の問いかけに福田は「え?」と戸惑った。
「冗談でしょ? 何かの間違いでしょ?と思っていたので、あまり先生の話が頭に入ってこなかったんです」
それでも有村監督は困惑する福田をよそに話を続ける。淡々と超強豪クラブへの練習参加のオファーが届いたことを伝えたのだった。
当時の福田は決して海外サッカーを熱心に観るタイプではなく、ヨーロッパサッカーの動向もハイライトで追う程度。ただ、最もプレーの参考にしていたレバンドフスキ(現バルセロナ)がエースとして君臨しているチームだ。海の向こうの遥か遠い存在が急に近づいてくるように感じた。「こんなチャンスは滅多にない」と、22年3月にドイツに旅立った。
バイエルンでは、同世代の金の卵たちが技術を磨くU-18チームとU-19チームの両方に参加した。わずか1週間の参加だったが、福田はその時間を「地獄だった」と振り返る。