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「クボのことは知ってるよ」バルササポに久保建英が笑顔で… 放送なしが惜しい「名手ブスケッツが声を荒げた」鮮烈プレー〈現地撮影〉
posted2023/01/27 17:02
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
一騎当千の活躍を見せたと言っていいだろうか、スペイン国王杯準々決勝対バルサ戦における久保建英のプレーは鮮烈な印象を残した。
バーを叩いた左足シュートはもちろん、何度もバルサ選手に囲まれながらも自陣からボールを持ち運んだ。そしてセルロートが外してしまったが――GKとDFの間に正確なグラウンダーでのクロスを送り込んだ。
ただ、試合は序盤から、リーガで首位に立つバルサペースで進み、さらには前半終了間際40分にブライス・メンデスが一発退場で数的不利も負った。後半に入って52分、デンベレにシュートを決められると、反撃も実らずそのまま1-0でレアル・ソシエダは敗戦。国王杯から姿を消すこととなった。
トップ下で攻守両面においてブスケッツを苛立たせた
試合が荒れる前兆はあった。
両チームメンバーがアップに現れるより早くピッチに審判団が姿を見せると大きなブーイングが鳴り響いた。客の入りはまだ3割、4割程度だっただろうか。にもかかわらず緊張感がスタジアムを包んだ。
しかしファンの関心は、バルサのメンバーが姿を現すとそちらに移っていった。また久保がアップ時にコントロールシュートを決めると、ゴール裏のいかついバルササポーターから〈KUBO〉という声が上がった。
その声は久保にも届き、久保が笑顔で反応を示した。
久保は、バルサの下部組織在籍時、FIFAのユース年代の移籍に関わる規定により、退団を余儀なくされた過去がある。そのことを知っているバルササポーターも多くいるということだろう。
国王杯、平日開催ということもあってか、空席の目立つバルサのホームスタジアム、カンプ・ノウに選手が入場してくる。
試合はフルメンバーで臨んだバルサに対して、ソシエダは中盤の要であるダビド・シルバ、ミケル・メリノを怪我で欠いた。久保はトップ下にポジションを取り、シルバに代わり攻撃のタクトを託された。
また守備時には、バルサ攻撃の要ブスケッツのマークという大役もこなしている。テア・シュテーゲンがブスケッツを探すとき、常に久保がそのコースを切る動きをするなど、久保とブスケッツの間に激しいポジションの取りあいが見てとれた。
珍しくブスケッツが声を荒げるシーンもあり、久保のマークに手を焼いていることが伝わってきた。