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史上初の“四軍制”、選手数も激増のソフトバンク…なのに近藤健介&オスナら大型補強はなぜ?「メジャー球団に勝つ」世界一へのガチ度
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/25 11:00
2022年ドラフトで指名されたイヒネ・イツア(手前中央)ら新入団選手 ©JIJI PRESS
いまや育成大国ともいえるソフトバンクのチーム編成責任者である三笠杉彦GMは、傘下にトリプルA、ダブルA、シングルA、ルーキーリーグと段階式のマイナーチームを抱える米メジャーリーグ(MLB)の構図が念頭にあることを明かしている。そのうえで今回の四軍設立について「まずはレイヤー(階層)としてシングルAレベルの四軍をつくるということ。まだ拡大するかもしれないと思いつつも、それがチームの強化にもつながる」と説明した。
もともと、ソフトバンクはMLBに強い対抗意識を燃やしていた。球団スローガン「めざせ世界一!」は、05年に前身のダイエーから親会社が移り変わった初年度から現在まで一貫している。今季の「鷹!鷹!鷹!(おう!おう!おう!)」や昨季の「もっと!もっと!もっと!」はあくまでシーズンスローガンであって、ソフトバンク球団としての骨太の方針は「世界一のプロ野球チームを目指し、メジャーリーグのチームに勝てるような球団を作る」こと。メジャーリーグ王者と真の世界一決定戦を行う夢は、今もずっと持ち続けている。
球団運営や規模もメジャー流へ。
その第一歩が三軍制だった。その三軍「1期生」だった千賀滉大や甲斐拓也、牧原大成はチームの主力へと成長し、球界トップレベルの選手へと大きく羽ばたいた。石川柊太や周東佑京、大関友久らその後の育成ドラフト出身選手もまた、現在のチームの骨格を担う存在となっている。
ならば、今回の四軍制導入は、ソフトバンクが行うメジャー流チームづくりが「第2フェーズ」に突入した証だといえる。
今オフの球界の主役とも言われた史上最大規模の大型補強もその一環だ。日本ハムからFAだった近藤健介を「7年総額50億円」とも推定される破格の条件で獲得したのをはじめ、守護神候補としてロッテのリリーバーだったロベルト・オスナ、先発候補では有原航平(前レンジャーズ)、ジョー・ガンケル(前阪神)と、いわゆる“計算できる”選手を次々に補強した。
育成選手多数…なのに大型補強はなぜ?
大型補強についてはいつの世も非難がつきまとう。特にソフトバンクの場合、次のように指摘する声も少なくなかった。
育成大国でありながら大型補強を行うのは矛盾するのではないか――。