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史上初の“四軍制”、選手数も激増のソフトバンク…なのに近藤健介&オスナら大型補強はなぜ?「メジャー球団に勝つ」世界一へのガチ度
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/25 11:00
2022年ドラフトで指名されたイヒネ・イツア(手前中央)ら新入団選手 ©JIJI PRESS
「即戦力が少ない」…今わかったドラフトの意図
ファーム(マイナー)でじっくりと鍛え上げてから一軍戦力へ。
そのため、四軍構想が持ち上がった20年以降の3度のドラフトはいずれも将来性重視だ。1位指名は井上朋也(内野手/花咲徳栄高)→風間球打(投手/ノースアジア大明桜高)→イヒネ・イツア(内野手/誉高)と高校生が並ぶ。昨シーズンの野村勇(21年ドラフト4位/NTT西日本)のようにルーキーイヤーで10本塁打、10盗塁と活躍したケースはあったが、即戦力は求めていないドラフト戦略に見える。
今年のルーキーは特にその傾向が強い。2位入団の大津亮介は大学・社会人を経ての入団であるものの見るからに線が細い。ただ、ワンシームを操るなど本人曰く「細分化すれば、10種類以上の変化球を投げられる」という器用さを持つ。モデルケースは板東湧梧だ。
3位の甲斐生海(登録名・生海/東北福祉大)は身内の不幸が重なるショックで大学生活の半分ほど野球から離れていたが、長打のポテンシャルを見込まれて指名された。5位の松本晴(亜細亜大)は大学3年春にトミー・ジョン手術を受けており、昨年は回復途上だったにもかかわらずスカウトの目に留まった。
大津、生海、松本の3名は春季キャンプA組スタートが決定しており、開幕一軍の可能性も十分あるが、「ルーキーに働いてもらわないと困る」というチーム状況では決してない。
桁違いの「本気度」は大型補強だけにとどまらないソフトバンク。未知数な四軍制、道半ばであるメジャー流がどんな成果をもたらすのか、それらの起点となる23年シーズンは球団の将来を左右する一年となりそうだ。
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