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落合博満のグラブを作った男 ハタケヤマの野球用具はなぜ超一流の野球人に愛されたのか まさに「下町ロケット」の町工場が生んだ“作品”の秘密 

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渋谷真

渋谷真Makoto Shibutani

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photograph byMakoto Kenmizaki

posted2022/12/21 11:01

落合博満のグラブを作った男 ハタケヤマの野球用具はなぜ超一流の野球人に愛されたのか まさに「下町ロケット」の町工場が生んだ“作品”の秘密<Number Web> photograph by Makoto Kenmizaki

こだわりが強い落合博満も現役時代の一時期にハタケヤマのグラブを愛用した

 各社が開発に心血を注ぎ、技術を競う。新たな製品を生む原動力は、顧客である選手自身の声なのだ。何を求め、何が足りないのか。どんな業種であれ、経営は難しい。だからトップに立つ者はいつしか現場に足を運べなくなるものだが、畠山会長は体調を崩すまで現場主義を貫いた。社員を通してではなく、選手から直接語られる、生の声に耳を傾けたかったのだろう。

「和牛」の刻印が示す職人のプライド

 同社のグラブ、ミットには「和牛」と刻印されている。輸入革より傷などが少なく質は高いが、流通量が少ない上にコストもかかる。それでも和牛の革にこだわった。連鎖倒産の危機に、あえて攻めの姿勢を見せて起ち上げた「ハタケヤマ」。靴底をすり減らし、顧客を開拓した「若」は、プレーはしていなくてもまさしく野球人だった。

 公表が死去の3日後だったのは、遺族の意向で通夜・葬儀を近親者だけで済ませたからだった。弔問、供花なども「固くご辞退」とある。後日、ハタケヤマ社主催のお別れの会が行われる。現役、元問わずたくさんの野球選手が、故人を偲ぶために駆けつけるはずだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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