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「落合博満を引退させた」と言われて…死球は“わざと”だったのか? 本人明かす真相…8年後、その落合が中日監督就任「トレード通告いつ来るかな」

posted2025/01/30 11:03

 
「落合博満を引退させた」と言われて…死球は“わざと”だったのか? 本人明かす真相…8年後、その落合が中日監督就任「トレード通告いつ来るかな」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

落合博満の中日監督時代にプレーした野口茂樹

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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JIJI PRESS

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、中日のエースとして活躍した野口茂樹(50歳)。中日の監督に落合博満の就任が決まった時、野口は動揺した。「僕ね、落合さんを骨折させてるんですよね」【全3回の2回目】※敬称略、記録などは当時

◆◆◆

 現役時代、三冠王を3度獲得した大打者と野口茂樹には因縁があった。96年8月31日、中日はナゴヤ球場にメークドラマへひた走る首位・巨人を迎えていた。3対4と1点ビハインドの7回から、4年目の左腕がマウンドに上がる。しかし、制球が定まらず、9番・水野雄仁、1番・仁志敏久に連続四球を与えてしまう。

「先頭打者へのフォアボール、しかもピッチャーですからね。星野監督が最も嫌がるパターンですよ」

落合への死球が「引退に追いやった」説

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 2番・川相昌弘が送って、1死二、三塁に。3番・松井秀喜を三振に斬って取り、4番・落合博満を迎えた。「絶対に抑えなければならない」と力んだ野口は初球のストレートを落合の左手小指に当ててしまう。顔面蒼白になった22歳の若武者は帽子を取って頭を下げたが、巨人ベンチからは「わざとぶつけるんじゃねえ!」と怒声が飛んだ。

 この1球は、のちにこう語り継がれる。落合博満を引退に追いやった死球――。

 打率.301、21本、86打点とチームを牽引していた42歳の男は、左手小指骨折でシーズンを棒に振る。オフに同じ一塁手の清原和博のFA移籍に伴い、巨人を退団。日本ハムに移籍したが、97年は打率.262、3本、43打点と急激に衰え、翌年限りで引退した。

「故意に当てたわけじゃないです。落合さんにぶつけられないですよ。でも、そう思われているので、(監督になったら)やりづらかったですね。本にも書いてあると聞いたんです」

「わざとじゃない…」その妥当な根拠

 落合は著書で〈「ここはぶつけてくるな」と思うと、実際、そうなる〉と語った上で、野口からの死球を振り返っている。

〈ちょうどいい場面だよな。俺の前に松井が凡退して、あとは俺に打たれなきゃいいわけだから、ぶつけにくることもあるなと想定して打席に入ったんだよ。だから心持ち後ろに立ったんだ。でも、まさか本当に当たるとは思っていなかった。もうちょっと慎重になっていれば良かったな、と後で思った〉(書籍『不敗人生』/97年2月20日発行/小学館)

 同書の共著者であるライターも〈素人目にも、あの場面では野口は最初から狙っていたように見えた〉と綴っている。本当に故意死球ではないのか。

【次ページ】 野口の不遇「全て自分が悪い」

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