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「結婚しよう。ブラジルで貴女を支える」“交際0日”柔道指導者の恋人にプロポーズ…「私も夫も金メダルに号泣」藤井裕子夫妻のスゴい人生
posted2025/01/30 06:01

ブラジルで12年間を過ごした藤井裕子・陽樹夫婦に柔道指導の日々と私生活を聞いた
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沢田啓明Hiroaki Sawada
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Hiroaki Sawada
藤井裕子さんは英国での柔道コーチの経験を経て、2013年にブラジル男女代表の技術コーチに招聘された。そこで出会ったのがラファエラ・シウバである。ブラジル人指導者でも手を焼いた“問題児”と向き合って信頼関係を作り、2016年にリオ五輪という大舞台を迎えた――。
教え子が金メダル…私も夫も号泣していた
――彼女が五輪の大舞台で最高の結果を出す。そう予想していましたか?
「私は選手団全体のコーチだったので、試合会場ではなく練習場で選手全員の調整を手伝っていました。ラファエラが会場へ向かうとき、彼女を強く抱きしめたのですが、これまでのことを思い出して涙が出そうになった。でも、彼女は『ユーコ、心配しないで。大丈夫、勝ってくるから』と自信満々でした」
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――彼女の試合は、練習場のテレビで見守ったのでしょうか。
「そうです。どの試合でも、『勝つのは私よ』と言わんばかりの強気の顔で闘っていた。そして、決勝で技ありを奪って優勝。その瞬間は思わず大声で叫び、涙が止まりませんでした」
――会場では陽樹さんが当時まだ赤ちゃんだった清竹君を抱いて関係者と共に試合を見守っており、号泣していました。
「そうですね(笑)。彼も清竹の世話をしながら常に代表チームの練習に付き添い、ブラジルの柔道ファミリーの一員となっていましたから」
男子柔道監督での「悔い」とは
――その後、男子柔道代表の監督という重責を担います。これは世界の柔道界で大きな反響を呼びました。
「女性が強豪国の男子代表監督になったから、ですね。でも、私は以前から男女の技術コーチを務めており、指導する際、選手の性別は気にしていなかった。また、男子のトップ選手も全員、私の指導を受けたことがあり、女性であることは意識していなかったと思います」
――そしてパンデミックを経ての東京五輪。母国で開催された大会に、外国の男子代表を率いて臨んだ気持ちは?