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「帰国後は築173年、夫の実家に」1男2女出産と柔道指導…藤井裕子一家のブラジル生活12年は幸せだった「できれば、もっといたかったな」
posted2025/01/30 06:02

2019年、世界柔道での藤井裕子さん。指導者として、3児の母としてブラジルでの12年間を充実して過ごした
text by

沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
JIJI PRESS
イギリス、ブラジルと計14年間にわたって柔道指導者としての生活を続けた藤井裕子さん。1月末に帰国し、夫である陽樹さんの故郷の実家・群馬県沼田市に3人の子供とともに戻るというが――夫婦は関東有数の豪雪地帯での新生活について、どのように考えているのだろうか。まずは陽樹さんから聞いていこう。
築173年の家…私と妻で話し合って決めた
――陽樹さんのご実家が、築173年で茅葺の家とは驚きましたが……周囲もそのような家が多いのですか?
「いや、ほとんどないです。ですから、近所ではかなり有名。毎年12月28日、地元の幼稚園の園児たちがやってきて、餅つきをするのが恒例行事となっています」
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――家の居心地はどうなのですか?
「昔ながらの大きな家で、夏は涼しいけれど冬はすごく寒い。家の前にかなり広い庭があり、雪がどかんと積もる。子供たちは大喜びです」
――お母様から「家を守ってほしい」と頼まれたのですか?
「いえ、言葉に出して言われてないし、実はまだ自分でもはっきりとは伝えていません。母は子供の頃から『ああしなさい、こうしなさい』と言わず自主性を重んじ、いつもやりたいことをやらせてくれた。ただ、面と向かって言われなくても、おそらく家を守ってほしいんだろうなということはわかる。ですから、私と裕子で話し合って決めました」
リオから沼田…「家族全員、適応力があるので」
この点について、裕子さんにも話を聞いてみることにした。
――帰国後、陽樹さんのご実家である茅葺の家を守ることをどう思いますか。
「まだ日本にいた頃に家を初めて訪れたのですが、一目で気に入りました。それまで自分が過ごしてきた愛知県や広島市とは全く異なる環境で、夢のような家だと思いました。子供たちも大好きで、私も住んで家を守ることは大賛成です。自分の仕事で東京へ行く必要があっても、2~3時間くらいで行けますし」
――熱帯のリオから、夏は涼しくても冬は極寒の沼田市、茅葺屋根の家への引っ越しです。ほぼ正反対の気候となるわけですが、不安はありませんか?
「家族全員、適応力があると思うので、大丈夫だと思います。むしろ全く違う生活を送れることに、みんなワクワクしています」
移住には陽樹さんのみならず、裕子さんも大賛成だった。