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森保ジャパン「死んだふり作戦」なのか…絶望的な前半、ハーフタイムのロッカールームで何を話した? 谷口彰悟の証言「スペインを惑わして…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2022/12/03 06:00
2010年W杯優勝のスペインから初勝利を挙げ、グループリーグ首位通過。試合後、歓喜に沸く三笘薫ら日本代表選手たち
ドイツ戦では、後半12分に三笘薫、26分に堂安律、30分に南野拓実が入ってからチームに動きが出てきた。「前から守備にいくために必要なパワーを持った選手がピッチに入ることは、試合の流れを変えるために必要だと考えてプレーした」と南野は語ったが、まずはマンパワーで淀んだ流れを一気に変えた。前への推進力の高い三笘や堂安らを投入することで意識を前掛かりにし、連動してボールを奪う姿勢を見せると、うしろの守備陣もリスクを負って前に上がった。疲れが見えたドイツのボールをひっかけて奪ってショートカウンターを仕掛け、相手に緊張感と疲労感からくるダメージを与えていった。「ドイツは徐々に出力が落ちた」と南野は語ったが、個人の特徴が戦術を変え、チームに劇的な変化をもたらした。
スペイン戦も、後半の最初から堂安と三笘が投入された。ハーフタイムのロッカーでは、動きの鈍い前半から目を覚まし、前からハメにいき、同点に追いつくぞということが選手間で話し合われた。谷口は、「律はボールをもてるし、薫はできるだけ高い位置で仕事をさせたいので、高い位置でハメにいかせた。前半と位置とか代えながら、相手を惑わしていけたので、個の特徴を活かしながらチームとしても活かすことができた。律のシュートが入ってからは僕らの空気も会場の空気も変わったので、これはいけるぞって感じになった」という。ドイツ戦での成功体験からチームに動きを与えてくれる影響力のある選手を最初から投入し、その狙い通りに流れを変えた。
「死んだふり」作戦なのか?
さらに1点取った後の「畳みかけた攻撃」も2試合に共通する。
ドイツ戦では、後半30分に堂安のゴールで追いつき、まだドイツがアタフタしている8分後に浅野拓磨がスーパーゴールを決めた。スペイン戦も後半3分に堂安が豪快な同点ゴールを決めると、スペインが守備を修正しようとしている最中の、その3分後に田中碧が逆転ゴールを決めた。ともに同点に追いついた後、相手が少し動揺している隙をついてゴールを奪っている。堂安が2試合どちらも同点ゴールを奪い、浅野と田中のゴールは決して簡単なものではなかったが、ここぞという勢いと攻めの流れが生んだ逆転弾と言えるだろう。
最後の締めは、「集中した守備」だ。