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スペイン人記者が断言「日本の番狂わせはクボ次第」チーム移籍後に激変…久保建英が最大の脅威と語るワケ 「スペインの弱点を知っている」
posted2022/11/23 17:11
text by
ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アスRoberto Ramajo
photograph by
Kiichi Matsumoto
「タケ・アル・クボ」
サン・セバスティアン(レアル・ソシエダの本拠地)で過ごした5カ月弱の間に、タケ・クボはまるで指数関数のような成長曲線を描いてきた。
冒頭のフレーズは、そこから思いついた言葉遊びだ。
スペイン語には、何か良い物事に「al Cubo(~の三乗)」と添えることで、さらに3倍良くなったとする表現がある。まさしく今のクボは、加入時の3倍は良い選手に変貌したと感じるのだ。
ソシエダ移籍後、なぜ好転したのか?
今季のクボは過密日程をものともせず、素晴らしいフィジカルコンディションを維持してきた。全体練習を休むことはほとんどなく、ニコシアでのオモニア戦で肩を脱臼するまで全試合に出場。直後の試合で肩の痛みを抱えながらも出場を直訴したというエピソードは、彼の不屈の精神力をよく表している。
ピッチ上では好不調の波がなくなってきた。以前は単発的に良いプレーを見せる反面、試合から“消える”時間が長かったが、今では常にプレーの中心にいることを望み、より頻繁にボールに関わるようになっている。
この点については、プレー環境の変化が少なからず影響していると考えるべきだろう。
これまで所属した他チームでは、常に攻撃の中心であることが求められた。ほとんど全ての攻撃がクボを介して組み立てられ、彼の調子が悪ければダイレクトにチームの攻撃も機能しなくなってしまった。クボ自身、チームを勝たせるんだと気負うがゆえ、結果が出ないたびにフラストレーションを溜め込んでいるようにも見えた。
それが攻撃面での責任をミケル・メリノやブライス・メンデス、ダビド・シルバらと分け合うことができるラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)では、気負わず落ち着いて自分のやるべき仕事に専念できるようになった。その意味で、日本代表の監督も彼の能力を最大限に引き出せるよう、選手の組み合わせを考慮すべきだろう。
サイドで飛躍。守備も格段に成長
中央のポジションでしか輝けないと言われていたクボが、ポリバレントな選手に豹変したことは驚きだった。加入時点では誰も想像していなかったことながら、今では左サイドでも右サイドでも、2トップの一角としても高いパフォーマンスを発揮できるようになった。日本代表の監督はこの点も頭に入れておくべきだ。