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「同年代の選手とプレーすることは恥ずかしいこと」“アーセナル冨安健洋先生”の白熱教室…アビスパ後輩の疑問に答え続けた3日間
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/23 11:24
カタールW杯、日本代表ディフェンス陣のキーパーソンとなる冨安健洋。彼は古巣に自らの経験を還元していた
「今回のトレーニングメニューからは新たな発見もありました。ただその一方で、日本の指導者がごく普通に話すような内容も、冨安は繰り返し発信していたのです。例えば、ボールを止めて、蹴ることもそうですし、パスを受ける前にするべき準備や、相手を見てポジションを変えることなどもそうです。『やはり、そういうことが大事だよな』と再認識させられるようなものでした。
ただ、そこで強調していたのは、『そういうことをいかに速く、正確にやれるかが大切だ』ということ。つまり、『スタンダードのレベルを上げろ』ということですよね。そこには彼なりの逆算もあるようでした。海外は戦術的にも進んでいるから、18歳や19歳では戦術についてしっかり学べる状態にならないといけない、ということです。となると、15歳や16歳の時点で『当たり前にやらないといけないプレー』を高いレベルでこなせるようにしないといけないという考えでした」
冨安のノウハウは未来の発展につながっていく
成功に終わった3つ目の理由は「戦術の重要性」についてであり、4つ目は「パーソナリティを大切にする意義」についてなのだが、それは#2や#3で触れることにしよう。
今回のプロジェクトは全員が心から喜べるような時間だった。そして、その価値は、世界最高峰のプレミアリーグでアーセナルが首位に立っている現実によって、改めて証明されることになった。
この取り組みは、必ずやアビスパの未来への財産になる。
11月6日、浦和レッズとのJ1最終戦をもって2022年シーズンをアビスパは終えた。ただ、シーズンの終わりは、新しいシーズンの始まりを告げるものでもある。彼らは、来たるべき2023年のシーズン、世界レベルの視点とエッセンスを備えたアカデミーを有するクラブとして胸を張れることができる。それが彼らや日本サッカーの、未来の発展につながっていく。
そして、そこにこそ、冨安が愛する古巣のために想いをこめて実現させたプロジェクトの意義があるのだ。
<#2につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。