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“ドラミちゃん”相馬勇紀が早大で「グランパス加入リリースを添削」された日…元Jリーガー+テレビマン恩師の“進化した自己表現”ウラ話 

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photograph byAdam Pretty - FIFA/Getty Images

posted2022/11/21 11:04

“ドラミちゃん”相馬勇紀が早大で「グランパス加入リリースを添削」された日…元Jリーガー+テレビマン恩師の“進化した自己表現”ウラ話<Number Web> photograph by Adam Pretty - FIFA/Getty Images

カタールW杯に臨む相馬勇紀。“ドラミちゃん”の愛称で親しまれるキャラクターだ

《初めまして来季、名古屋グランパスに加入することになりました相馬勇紀です。

 私の特徴はスピードを生かしたドリブル、キックなので、そこに注目してもらいたいです。チームに直接的な結果で貢献できるよう頑張ります。

 私が人生で1度だけエスコートキッズをしたチームが名古屋グランパスでした。

 2004年9月18日の東京ヴェルディvs名古屋グランパスの試合です。初めてスタジアムのピッチに立ち感動し、ここに立ちたいと思いました。14年後の今、あの時見た憧れのチームに入ることができ、本当に嬉しく思います。ただ加入がゴールだとは全く思っていません。1日1日を大切に謙虚に上を見続け頑張ります。》

自分の思いを書き、ロシアW杯中継ゲストにも

 相馬のコメントではこの後、自らを育ててもらった三菱養和SC、早稲田大学への感謝についても触れられている。ただ、外池監督は当時の“裏話”として、相馬が書いてきた文章を添削したことを明かす。

「『紋切り型のリリースなら出す意味がない。まず、どんな長文になっても、お世話になる名古屋とどんな接点があって、そもそもこのメッセージを、誰に届けたいのか? それによってどうなりたいか? 具体的にどこでどう自分が変化したのか? を考えた上で、自分の言葉にしよう』と伝えました。自分の思いをしっかり書くことが共感を生むし、その共感がないと応援を受けることができない。『それがプロとして、自分の価値について、学生のこれまでより先に考えていくスタートライン』という話をしたんです」

 自己表現力を上げる機会は、1カ月後にも訪れている。

 ロシアW杯が開催されるタイミングで、NHKではテレビ中継のゲストとして「東京五輪を目指す大学生」を招いた。そこには後に東京五輪、カタールW杯メンバーとなった三笘薫、上田綺世、そして相馬が呼ばれたのだ。

 そんな相馬に対して、外池はこう意識づけたのだという。

「NHKに出演して喋ることができる大学生なんて、そうはいない。だから、こんなチャンスはない。“お客さん”として行って『ああ、良い経験だった』で終わるんじゃなくて、ここでどれだけの爪痕が残せるかのチャレンジにしよう……と、散々言った上で送り出しました(笑)」

そういった線上においての進化系が彼だと感じています

 こうやって自己発信力を鍛えた話を聞いて、思い出したことがあった。三菱養和SC時代に携わった大槻邦雄コーチとのやり取りである。#1で触れたように、東京五輪を目指すタイミング付近から大槻は、相馬が発信する言葉に力強さを感じるようになった。それは外池のもとで取り組んだ“表現力のトレーニング”があったからこそなのだろう。

【次ページ】 もし相馬の“宣言”が現実になる日が来たら…

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