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「駒澤大はエベレスト」とライバル校も脱帽…箱根優勝の本命“独走2冠”駒澤大は何が変わったのか? 田澤「これまでと違うところは、強固な団結力」
posted2022/11/09 11:01
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Nanae Suzuki
駒澤大学の勢いが止まらない。
出雲駅伝につづき、全日本大学駅伝も3区の山野力(4年)で先頭に立つと、そのままトップを一度も譲ることなくフィニッシュ。ここ数年、全日本は7区、8区での競り合いで優勝校が決まったが、今回はぶっちぎりの優勝で、他校は駒澤大の影すら踏むことができなかった。
これで駒澤大は、全日本3連覇、今シーズンの2冠を達成し、いよいよ箱根駅伝で同大学史上初の3冠に挑むことになるが、死角は見えてこない。
この駒澤大の強さはいったい何なのだろうか。
下級生が勝手に布団を敷いて寝ることが許されなかった時代も
駅伝の記録的に言えば、出走した選手が外さない(順位を大きく落とさない)ことが勝利につながったといえるが、チームとしてこれまでと一番違うのは、選手間でイジりあう様子が垣間見え、チームのムードが明るく、活気づいているというところだ。
以前のチームは、質実剛健な雰囲気が漂い、上下関係が非常に厳しかった。実際、数年前までは理不尽ともいえるお約束があった。例えば、就寝する際は、同部屋の先輩が布団を敷いたら後輩も敷けるが、下級生が勝手に布団を敷いて寝ることが許されなかった。また、昼寝時など、先輩が寝ている際、部屋に入ると起こしてしまうので、食堂で過ごすなど、基本は部屋に入れないルールがあった。だが、2年前、箱根駅伝で優勝したチームの主務である青山尚大の世代がそういうルールをなくしていき、今季、主将になった山野も競技に必要のないルールを撤廃していった。
それだけでもチーム内には、穏やかな空気が流れるようになった。山野たちは、そこからさらにもう一歩踏み込んで田澤廉(4年)とともにチーム改革を進めていった。
「上級生と下級生に溝がある」と感じていた山野
「これまでのチームと違うところは、強固な団結力だと思います」
田澤は、そう語る。
昨年、3年生で主将だった田澤がチームを率いる際、貫いたのは練習で背中を見せ、強くするために選手を引っ張ることだった。
「全日本の連覇がかかっていましたし、箱根駅伝も連覇をしないといけないという思いから、駅伝を走らなければならない選手は、まず徹底的に練習で上げていくことを主にやっていました。中間層も大事だということで、かなり練習で追い込んでいました」