箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「駒澤大はエベレスト」とライバル校も脱帽…箱根優勝の本命“独走2冠”駒澤大は何が変わったのか? 田澤「これまでと違うところは、強固な団結力」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2022/11/09 11:01
全日本大学駅伝では2位の国学院大学に3分以上差をつけ、3連覇を成し遂げた駒澤大。今季、出雲とあわせ2冠のチームに起きていた変化とは…?
5区の候補に浮上した1年生の山川拓馬
山野が言う山の5区と6区は、前回4位と6位と無難に走っているが、ややパンチ力にかける。この区間で他校と差をつけられないでいた。だが、ここに強い選手を置くことができれば、駒澤大学のオーダーは万全のものになる。5区の候補は、前回の走者である金子伊吹(3年)、大坪幸太(4年)らがいるが、面白い選手が名乗りを上げている。全日本大学駅伝で駅伝デビューを果たした山川拓馬(1年)である。
「出雲のメンバーに入ったのですが、出走できないという悔しさがありました。そこから全日本の4区に選んでいただいたので、走るからには区間賞という気持ちがありました。初駅伝で初の区間賞は嬉しいですが、箱根でも走って強い選手との争いで区間賞を獲りたいです」
そう語る山川は全日本で持ち味の積極的な走りを見せ、4区区間賞を獲得。その能力を田澤が「山川は上りが得意で、タフな選手」と高く評価するランナーだ。山川は長野県の上伊那農業高出身で小さい頃から山を駆けてきた。
「高校の時から上りが得意で、その頃から5区を走りたいと思っていました。山を走るからには山の神になりたいですね。柏原(竜二)さんや神野(大地)さんの走りが印象深いですが、自分はまだそのレベルには至っていません。上りは得意なんですけど、下りがまったく走れないので、それが課題です」
田澤「山川の区間賞で優勝を確信した」箱根は…?
山川が下りを克服して5区を走れるようになれば、今回2区で走った佐藤(1年)とともに、複数名のルーキーが箱根の主要区間を駆けることになるだろう。全日本では「山川の区間賞で優勝を確信した」と田澤は語ったが、箱根でもレースを決定づける区間に置かれる可能性がある。山川は同じ1年生に対抗心を燃やしつつ、箱根を駆けて、3冠に貢献したいという。
「圭汰は、5000mや1万mをやると言っているし、そこではかなわないですが、ハーフでは絶対に負けたくない。他の1年生もロードが強いので、負けられないですね。箱根は自分が出て優勝に貢献したいです。将来は、マラソンでオリンピックに出て、そこで活躍できる選手になるのが自分の目標です」
山川や佐藤のように活きのいいルーキーが駅伝で好走し、彼らの存在がチームを盛り上げ、勢いをつけている。しかもチームは現状維持ではなく、さらなる高みを目指して、強化を進めている。山野がいうように、どうやら今のチームには油断も慢心も隙もなさそうだ。
駒澤大が、箱根を奪回し、3冠を達成する可能性は、今のところ限りなく高い。
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