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RENAがハイキックでダウン奪取も苦戦の理由「足が腫れたのも初めて…」試合後、大健闘したウクライナ人選手が涙で語った“ある思い”とは?
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![橋本宗洋](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/-/img_3e695eddb40b312a8b8e4e58a09cfcd013505.jpg)
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2022/08/05 11:04
![RENAがハイキックでダウン奪取も苦戦の理由「足が腫れたのも初めて…」試合後、大健闘したウクライナ人選手が涙で語った“ある思い”とは?<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/a/8/700/img_a8067002088b10df533d8f75cd9dcee0450611.jpg)
1ラウンド、強烈なハイキックでダウンを奪ったRENA。しかし試合はそこで終わらなかった
ハイキックでダウン奪取も、RENAが苦戦を強いられた理由
1ラウンドには、RENAが得意のボディショットからハイキックにつなげ、ダウンを奪う場面があった。しかし、そこからの追撃でもフィニッシュできず。
「勝手に“終わったな”と思っちゃって。そこで一瞬、緊張の糸が解けてしまったのは反省ですね」(RENA)
それはアナスタシアの頑張りもあるだろうし、もしかすると外国人選手の打たれ強さということなのかもしれない。コロナ禍で外国人の来日が制限されて以降、彼女が対戦した外国人選手は韓国のパク・シウだけ。アジア系以外の選手と闘うのは2019年大晦日以来だった。
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「日本人であそこまで手足長い人いないですから。寝技の展開になったら、もっとやりづらかったかもしれないです」
久しぶりに打ち合ってくれる相手だった、とアナスタシアについて語ったRENA。ただMMAである以上、常にテイクダウンのディフェンスも考えなくてはいけない。そのあたりの歯車が、今回はうまく噛み合わなかったのだろう。見ていて、試合が進めば進むほど「これは侮れない相手だな」という印象が増していった。
そう、これは“RENA、トーナメント初戦で外国人選手相手に思わぬ苦戦”という試合であると同時に“初参戦のアナスタシアが想像以上の実力と頑張りを見せた試合”でもあった。アナスタシアが“主語”になり得る内容だったのだ。
試合後、2人で掲げたウクライナ国旗
闘いぶりと同じくらい記憶に残るのは、試合後にウクライナ国旗を掲げた場面だ。RENAも手を貸し、2人で旗を広げる。その時の心境を、RENAはこう振り返った。
「日本は平和じゃないですか。(アナスタシアは)私には経験できないような悲しいこと、つらいことがある中で格闘技に向き合って。それで日本に来て試合をするのって大変だと思います。アナスタシア選手は凄い優しくて性格もよくて。ラブ&ピースを広めたいというか。私にできるのはああいうことしかないですけど」
敗れたアナスタシアは、コメント中に涙を見せた。
「これからも格闘技を続けたいです。このスポーツが好きだし、もっと成長したい。“あんなふうになりたい”という、人々の手本にもなりたい」