濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
RENAがハイキックでダウン奪取も苦戦の理由「足が腫れたのも初めて…」試合後、大健闘したウクライナ人選手が涙で語った“ある思い”とは?
posted2022/08/05 11:04
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
RENAにとって、新たなスタートとなる再起戦だった。
7月31日、さいたまスーパーアリーナでの『RIZIN.37』で開幕したスーパーアトム級(49kg)トーナメント。RENAは昨年大晦日にパク・シウに敗れ、今回は7カ月ぶりの実戦。しかもトーナメントには、浜崎朱加もエントリーしている。
RENAはMMA挑戦にあたり浜崎が所属するAACCで練習してきた。いわば師匠のような存在で、アメリカで実績を残した浜崎がRIZINに参戦し、ベルトを巻いてもRENAには対戦する気がなかった。仲間と殴り合いはできない。
ところが、その浜崎が伊澤星花に連敗し王座陥落。それがあって、RENAはトーナメント出場を決めた。曰く「伊澤選手に勝てるのは私しかいない」。浜崎とは決勝戦でなら闘うつもりだ。運営側としても、旗揚げ以来完全に定着した女子戦線にもう一度、磨きをかけ直すという意図があった。
RENAの左脚は痛々しく腫れ上がった
7.31さいたま大会の1回戦でRENAと対戦したのは、ウクライナのアナスタシア・スヴェッキスカ。プロキャリアはまだ2戦だがアマチュアで世界大会優勝を果たしている。
「ウクライナ国民は強いんだと世界にアピールしたい」
そんなコメントとともに来日したアナスタシアは、確かに実力者だった。常にリードしていたのはRENAなのだが、アナスタシアの戦意もまったく衰えない。打たれれば打ち返す。それを5分3ラウンド、立ち技格闘技シュートボクシングで突出したチャンピオンだったRENAを相手にやってのけたのだから驚く。
判定3-0で勝利したRENAだが、試合後のインタビューでは「このままじゃダメですね、倒し切るのが私の売りなのに。(以前は)できていたことができなかった」。それだけアナスタシアがやりにくい相手だったのだ。
「久しぶりにパンチが効きました。ローキックで足が腫れたのもシュートボクシング合わせて初めて。2倍くらいになっちゃいました。本当に勉強になりました」
そう語るRENAの左の太腿には痛々しい腫れが見てとれた。アナスタシアはパンチを打ち返すだけでなく、そこからローキックにつなげていた。上下の打ち分け、コンビネーションといった打撃の基本に忠実だったわけだ。繰り返すが、それをRENA相手にやったのだ。基礎的能力が高いファイターだということの証明と言っていいだろう。