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RENAがハイキックでダウン奪取も苦戦の理由「足が腫れたのも初めて…」試合後、大健闘したウクライナ人選手が涙で語った“ある思い”とは? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2022/08/05 11:04

RENAがハイキックでダウン奪取も苦戦の理由「足が腫れたのも初めて…」試合後、大健闘したウクライナ人選手が涙で語った“ある思い”とは?<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

1ラウンド、強烈なハイキックでダウンを奪ったRENA。しかし試合はそこで終わらなかった

 やはり、今のウクライナの状況の中で格闘技の練習に取り組み、試合をするというのは相当に大変なことなのだろう。女子の練習相手、スパーリングパートナーも少ない。ただ彼女は「国の状況は関係ない、言い訳にしたくない」とも語っている。

「どんな状況であっても、自分がどうしてもやりたいなら実現できるはず。国がどんな状況でも、可能性がゼロということはないはず。私は私が望むものを必ず手に入れる。そういう強い意志があります。私は自分の意思で格闘技を続けます。誰にも強制されることはありません」

アナスタシアが涙ながらに語ったこと

 日本のファンからの拍手、声援に力づけられたというアナスタシア。「それがどんなに励みになったか。みなさんには想像できないくらい嬉しかったんです」と言う。確かにそうだ。戦時下にある母国から日本に来て1万人の前で試合をし、自分を初めて見る観客の拍手をもらう。ちょっと想像できないことだ。伝えたいことはあるかと聞かれ、彼女はこう言った。

「戦争が始まって6カ月。まだ戦争は終わっていません。みんなが戦争の犠牲になり、多くの人間が暴力の被害にあっています。ウクライナは独立した、豊かな国です。多くの領土が占領されてしまいましたが、それに甘んじることなく、自分たちの国を守っていきたい。みなさんからの強いサポートを訴えたいです」

 RENAは苦戦しながら、トーナメント1回戦を突破した。その相手は、戦時下のウクライナから来たタフな新鋭だった。結果としては順当、しかし結果以外も含めて、豊かさと切実さのある一戦だった。アナスタシアのRIZIN継続参戦を望むファンは多いだろう。戦争に負けずに強くなる姿を見続けたい。いや、戦争が終われば成長速度はさらに増すはずだ。1日でも早くその時が来ることを願う。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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