熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
PSG→バルサのロナウジーニョやミラン直行のカカは成功、大失敗は“自宅放火した超逸材DF”…ブラジル人移籍明暗〈久保建英のライバルは?〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/08/01 20:01
バルサ時代のロナウジーニョとミラン時代のカカ。それぞれ欧州でステップアップした
2010年1月、ドイツ1部のクラブへ期限付き移籍したが、すぐに故障してしまい、ほどんど出場できず。半年後、バイエルンへ復帰したが、ここでも故障を繰り返した。
「こんなはずではなかった」という思いが募ってノイローゼ気味になり、2011年9月、ミュンヘン郊外の自宅で泥酔した挙句、自宅へ火を放ってしまった。地元の裁判所から懲役3年9カ月の判決を受けて服役。その後、刑期を短縮されて2014年末に帰国し、古巣サンパウロへ復帰した。しかし、故障の影響もあってコンディションを保つことができず、2020年末、30歳で現役を退いた。
やはり「まずは中小クラブ」が現実的なのか?
このように、日本人選手もブラジル人選手も、自国のクラブから欧州ビッグクラブへ直接移籍するよりも、間に欧州中小クラブを挟んだ方が成功率が格段に高まる。
この理由を説明するのは難しくない。
日本もブラジルも、欧州諸国とは文化、メンタリティ、言語、気候、食事、フットボールのプレースタイルなどが異なる。これらの違いに適応するには多少の時間を要するのが普通だ(ただし、ブラジルはラテン文化の国なので、スペイン、イタリア、フランス、ポルトガルなど欧州ラテン諸国への適応は比較的容易だ)。
欧州ビッグクラブのレベルはそれまでプレーしたクラブとの比ではないから、ポジション争いのレベルも極めて高い。外国人選手がこれらの壁を一気に乗り越えるのは至難の業だ。まずは欧州中小クラブに入り、環境に適応しながら試合に出始める方が、回り道のように思えて実際には近道となることが多い。
とはいえ、欧州ビッグクラブへ直行しても、そこから中小クラブへ貸し出されるのであれば、まずは中小クラブに入るのと現象としては同じではないか。
にもかかわらず、なぜ中小クラブ経由の方が格段に“成功率”が高いのか、という新たな疑問が生じる。
日本人選手、ブラジル人選手の過去のデータを頭に入れたうえで、日本、ブラジル、欧州のフットボールの実情を知る関係者に疑問点を洗いざらい聞いてみたい、と考えた。彼らから聞いた率直な意見を第3回で紹介していく。<#3につづく>