熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
PSG→バルサのロナウジーニョやミラン直行のカカは成功、大失敗は“自宅放火した超逸材DF”…ブラジル人移籍明暗〈久保建英のライバルは?〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/08/01 20:01
バルサ時代のロナウジーニョとミラン時代のカカ。それぞれ欧州でステップアップした
後半途中まで2試合合計で2点リードを許すという絶体絶命のピンチで投入されると、レギュラータイムの最終盤に2ゴールを叩き込んでチームを救った(試合は延長戦の末、レアル・マドリーが大逆転勝ち。決勝でもリバプールを下して優勝した)。
鳴かず飛ばずだった有望選手も少なくない
その一方で、ブラジルから欧州ビッグクラブへ直行して鳴かず飛ばずだった有望選手は少なくない。
その代表格が、CFケイリソンである。
ブラジルの中堅クラブ、コリチーバのアカデミー育ち。スピードがあり、スペースへ巧みに飛び出し、多彩なシュートを放つ逸材として注目を集めた。
2006年、17歳でトップチームからデビューし、2年余りの間に122試合に出場して65得点。2009年、パルメイラスへ移籍し、半年間で36試合に出場して24得点。2009年7月、20歳でバルセロナへ移籍した(推定移籍金は1400万ユーロ=約19億4000万円)。
しかし、ペップ・グアルディオラ監督(当時)の戦力構想から外れ、ベンフィカ(ポルトガル)へ期限付き移籍したが、5カ月間で7試合出場しただけ(無得点)。
2010年1月、今度はフィオレンティーナ(イタリア)へ貸し出されたが、ここでも半年間に12試合に出場して2得点。その後はブラジルのクラブへ期限付き移籍を繰り返したが、やはり精彩を欠いた。2014年、バルセロナで全くプレーしないまま古巣コリチーバへ完全移籍したが、かつての輝きはなかった。2018年、29歳で現役を退いた。
バイエルンに行きながら“自宅放火”してしまった選手も
CBブレーノの場合は、さらに悲惨だった。
2007年、17歳にしてブラジルの名門サンパウロからデビューし、高い身体能力、確かな技術、優れた状況判断力を発揮してブラジルリーグのベストイレブンに選ばれた。「ブラジルのフットボール史上、最高のCBとなりうる超逸材」と評され、2008年、バイエルン・ミュンヘンへ移籍金1200万ユーロ(約16億6000万円)で移籍した。
しかし、ドイツでの生活とブンデスリーガのプレースタイルへの適応に苦しみ、ハイレベルのポジション争いに勝てなかった。