プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「そこに“油断”はなかったのか?」巨人で76人の大規模クラスター発生! 内野手はほぼ全滅…無症状のコロナ陽性者への対応も考えるべき?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/07/26 11:01
前半戦を終え5位の巨人・原辰徳監督。首位ヤクルトには12.5ゲーム差をつけられている
1つは試合中止の要件を明確化すること。
クラスター発生直後は2、3試合の中止はやむを得ない。ただ大量に陽性者が出た場合は試合挙行のための最低限の選手数と、同時に支配下選手登録されているポジション別に出場可能な最低限の人数を決める必要がある。それを切った場合には、その人数が復帰するまで試合開催を止めるという基準の作成だ。
無症状の選手への対応も考えるべき?
そしてもう1つは無症状の選手の扱いである。
ADVERTISEMENT
無症状の陽性者は政府のガイドラインでもウイルスの排出量が少なく、感染性は低いとされている。感染が分かった時点から2、3日の隔離期間を経た上で、症状が出なければそのまま試合への出場を可能にすることも考えるべきではないだろうか。もちろんベンチでのマスク着用等を義務付けた上で、また非感染者と接触する時間を極力減らすためにロッカーなどの施設を区分けした上で出場を可能にする。
それくらいの“前進”があってもいい段階に来ているかもしれない。
今回、巨人に起こった規模のクラスターが、再び他チームで起きるかどうかは分からない。ただ連日感染者数が過去最高を記録していることから、オミクロン株BA5系統の感染力の高さは、これまでの変異株に比べて想像以上であることは間違いない。
いつ何時に、再び同じような大人数のクラスターが発生するかは予測不能だ。
ただその一方でコロナとの向き合い方ももう1度、精査する必要はあるはずだ。世界的なスポーツ界のコロナ対応の潮流としては、もはや「ウィズ・コロナ」へと転換する時期にきている。それもまた明白な事実である。
コロナとの付き合い方の線をどこに引くのか。これまでスポーツ界のコロナ対策では常に先導的な役割を果たしてきたのがプロ野球とJリーグだった。だからこそいま直面している第7波の中で、この2つのトッププロスポーツがどう現実的な判断を下すのか。ひょっとしたらここがプロ野球とJリーグ……いや日本のスポーツ界にとっての、大きな岐路なのかもしれない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。