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巨人“田中将大・ライデルW獲得”決定的のウラで「FAで最近フラれがち」「現守護神の大勢は…配置転換?」成績に見る懸念と大物選手の処遇
posted2024/12/17 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS/Hideki Sugiyama
「大人買い」「爆買い」、二昔前まで巨人のストーブリーグと言えば、スポーツ紙にこういう見出しが飛び交ったものだ。FA選手を複数獲得したうえに、他球団の外国人選手をごぼう抜きしたものだが、今は大きく状況が変わってしまっている。
近年、巨人が獲得したFA選手の成績は…
今年のFA権行使を宣言した選手のうち巨人は、ソフトバンクの石川柊太と甲斐拓也、阪神・大山悠輔の獲得を目指した。しかし石川はロッテに移籍が決定、大山は阪神残留が決まり、残りは甲斐だけ(獲得濃厚の報道があるが)になっている。
NPB最高と言われた「巨人ブランド」が色あせ、普通の球団になったということだろうが、それに加え、ここ10年ほど巨人にFA移籍した選手の「加入後の成績」がはかばかしくないことがあろう。
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〈2014年〉
相川亮二(←ヤクルト)106試178打47安4本24点1盗 率.264
金城龍彦(←DeNA)36試90打21安1本10点1盗 率.233
〈2015年〉
脇谷亮太(←西武)106試172打33安1本7点0盗 率.192
〈2016年〉
山口俊(←DeNA)76試27勝22敗1S1H 425.1回 率3.47
森福允彦(←SB)39試1勝3敗0S9H 27.0回 率4.33
陽岱鋼(←日本ハム)329試861打222安24本97点7盗 率.258
〈2017年〉
野上亮磨(←西武)47試5勝7敗2S8H 105.2回 率4.09
〈2018年〉
炭谷銀仁朗(←西武)158試274打60安8本40点0盗 率.219
丸佳浩(←広島)783試2785打763安136本378点43盗 率.274
〈2020年〉
梶谷隆幸(←DeNA)169試508打140安7本44点13盗 率.276
井納翔一(←DeNA)12試1勝1敗0S1H 10回 率8.10
2016年移籍の山口俊が最多勝を獲得。2018年の丸が移籍後もベストナイン、ゴールデングラブを受賞して現在もレギュラーとして活躍しているが、それ以外の選手はシーズン通じて定位置を確保することなく引退したり、退団したりしている。
巨人の場合「FA移籍しても、レギュラーの座は保証しない」と言われる。またポジションが被る選手を補強することも多かった。慣れない環境で、チームに適応する以前にレギュラーを外され、成績を残すことができないケースもある。
浅村、森、近藤…巨人以外を選んだFA勢
後述するが――かつての巨人は、他球団の大物選手を獲得した際の「処遇の仕方」を心得ていた。しかし、今は、そういう文化が失われたような印象だ。
一方で、他球団は必ずしもそうではない。ここ近年のケースを列記しよう。