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佐々木朗希と比べると地味!? 球宴ファン投票1位の“非エリート”阪神・青柳晃洋(28)の出世街道がスゴい「野球が下手くそでサイドスロー転向」
posted2022/07/26 11:05
text by
豊島和男Kazuo Toyoshima
photograph by
Sankei Shimbun
こんな未来を、誰が想像していただろうか。
日本時間の7月20日。海の向こう、そうメジャーリーグでは第92回オールスターゲームが開催された。2年連続2度目の出場となったエンゼルス・大谷翔平の笑顔が異国の地で光り輝いた。5万2518人の大観衆が熱狂した夢舞台。野球少年に戻ったかのように野球を心から楽しんでいる姿が印象的だった。
「この先、何回も選ばれたいですし、何回もこういう場所でプレーしたい。より頑張りたいなと」
28歳の現役メジャーリーガーが改めて野球の素晴らしさを伝えてくれた。
弱肉強食の厳しいプロの世界で選ばれし者だけが立つことを許される夢の舞台ーー昨年に引き続き、日本でも7月26日から2日間にわたって、オールスターゲームが開催される。
同月6日、「マイナビオールスターゲーム2022」のファン投票最終結果が発表され、セ・リーグの先発投手部門でトップの22万8394票を獲得したのが阪神の青柳晃洋だった。オールスター出場は自身3度目、ファン投票による選出は初となる。
パ・リーグ同部門で青柳の得票数を上回るロッテ・佐々木朗希(30万4034票)、オリックス・山本由伸(25万1825票)に比べると幾分、地味な存在に見られがちだが、今季の成績は申し分ない。ここまで15試合に先発して11勝1敗、防御率1.37、四球は1試合平均1.07個。オールスター前の時点で、勝利数と防御率は12球団トップだ。
大谷翔平の1歳年上で、今年12月11日には29歳を迎える変則右腕は、昨年の東京五輪でも侍ジャパンの一員として金メダル獲得に貢献するなど、プロアスリートとしてキャリアを積み重ねている。しかし、その野球人生は決して順風満帆ではなかった。
サイドスロー転校は“最後の生きる道”
「野球が下手くそだった」
野球に出会ったのは小学5年の時だった。野手として野球人生をスタートするも、小学6年で投手に転向。ポジションの変更、そしてコーチの勧めでオーバースローからサイドスローに投球フォームを変更したが、これはすべて“下手くそ”だったことが理由だった。いわば、“最後の生きる道”であるサイドスローとの出会いが、のちの野球人生を大きく変えた。