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巨人不振の根源に「勝利の方程式・整合性なきリリーフ起用」 成績で見ると盤石ヤクルトとの差は歴然〈セ唯一の救援防御率4点台〉

posted2022/07/26 06:00

 
巨人不振の根源に「勝利の方程式・整合性なきリリーフ起用」 成績で見ると盤石ヤクルトとの差は歴然〈セ唯一の救援防御率4点台〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

“魔の8回”と呼ばれるなど、巨人のリリーフ陣が機能していないのは数字でも明らかだ

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Hideki Sugiyama

 新型コロナの感染爆発が起こって、ペナントレースは大揺れに揺れているが、こればかりは野球の力では如何ともしがたい。ことの進展を見守るしかないが、ここでは前半戦の巨人、救援投手陣に焦点を当てて振り返ってみたい。

 年俸総額で巨人はソフトバンクに次ぐ2位であり、セでは1位。今季も大物選手をずらっと揃えているが、成績は前半戦終了時点で45勝50敗1分で5位。ヤクルトが独走していて、1強5弱だからポストシーズン進出の可能性があるが、年俸総額に照らせばコストパフォーマンスが悪い。

主力の不振以上に深刻なリリーフ陣

 1つには主力選手の不振がある。

 エースの菅野智之は、このところめっきり打ち込まれることが多くなった。また4番打者の岡本和真も打率は急降下し、今は規定打席以上の最下位。年下のライバル村上宗隆には水をあけられている。ウォーカー、ポランコの新外国人は「当たり」ではあったが、打線の迫力も今一つだ。

 しかしそれ以上に深刻なのが、救援投手陣である。

<セ6球団の先発・救援別の防御率>
ヤクルト 先3.50 救3.08
広島 先3.30 救3.54
阪神 先2.63 救2.43
DeNA 先3.93 救3.03
巨人 先3.98 救4.28
中日 先3.73 救3.26

 各球団の本拠地はダイヤモンドの大きさこそ同じだが、球場のサイズや気候条件などが大きく異なる。本塁打や安打が出やすい球場もあれば、出にくい球場もある。チーム防御率が悪いからと言って、必ずしもそのチームが弱いとは言い切れない。とはいえ一般的に長いイニングを投げる先発よりも、1イニングに集中する救援の方が失点する可能性が少ないから、先発より救援の方が防御率が良くなる。そうでなければ救援にスイッチする意味がないはずである。

 巨人は打者有利と言われる東京ドームを本拠地とする。防御率が悪いのはある程度仕方がないが、先発よりも救援の方が防御率が悪い。なお広島も同じ状況にあり、この2球団は救援投手が機能していないと言える。

巨人リリーフ陣の“具体的な問題”とは

 では、具体的にはどこに問題があるのか?

【次ページ】 ヤクルトと巨人の前半戦救援陣の成績詳細を比べてみる

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読売ジャイアンツ
大勢
今村信貴
畠世周
鍬原拓也
平内龍太
高梨雄平
菊地大稀
東京ヤクルトスワローズ
高津臣吾
スコット・マクガフ
清水昇
石山泰稚
梅野雄吾
田口麗斗
木澤尚文
今野龍太
大西広樹

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